HDDと光ディスクは融合へ

  こうした現行HDDレコーダの弱みは,今日明日には解消されない。その機を逃さず次世代光ディスクを市場に投入すれば,活路は見えてくる。

 その際に強調するのは,HDDレコーダと光ディスク装置の連携動作である。「HDDレコーダと次世代の光ディスク・レコーダは,競合するものではない。互いに補完し合うことで,より使い勝手の良い機器になる」(パイオニア 研究開発本部 総合研究所 ディスクシステム研究部長 横川文彦氏)ということを具体的なかたちで示すことだろう(図4,図5)。


図5 連携機能が重要
早ければ2003年にも登場するハード・ディスク装置(HDD)と次世代光ディスク装置を装備したレコーダの姿を予測した。重要なのはHDDと光ディスク装置の連携機能である。それぞれ単独では実現が困難な,新たな使い方の提案をしたいところだ。(図:本誌)

 CDやDVDなどの前例が示すように,光ディスクの特徴は,いったん普及が始まると急激に価格競争力が強まることである。しかし,普及のきっかけを失うと,ほかの外部記憶装置に立脚点を奪われ,二度と立ち上がれないほどの打撃をこうむる。

 日を追うごとにHDDレコーダは進化し,その弱点は解消されていくからである。HDDはより大容量,低価格になり,ネットワークも太くなっていく(図6)。HDDの容量不足の問題はしだいに解消される。HDDが十分に低価格になれば,小規模なRAID(Redundant Arrays of Inexpensive Disks)システムを組むことで信頼性の課題も払拭されよう。ネットワーク上でサーバに個人のデータを保管することで,信頼性と管理の煩雑さを同時に解消するようなサービスも始まる。

 機器メーカが設定する次世代光ディスクの出荷のタイム・リミットは2002年だ。「遅くても2003年には出さなければならない」(複数の光ディスク技術者)。この時期に照準を定める理由は二つある。一つは,青紫色半導体レーザの安定供給が始りそうなこと,もう一つは規格策定と製品開発に最短で2年程度は必要だと考えているからである(pp.151-160の第2部「急がれる規格策定,統一か分裂か」およびpp.161-168の第3部「残る不安は光源と著作権保護」参照)。

HDDを増やした方が安くなる