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技術経営戦略考

技術者が非論理的であることの強み

  • 川口盛之助=アーサー・D・リトル シニアマネージャー
  • 2008/02/18 15:00
  • 1/6ページ

 一般の人からみた「技術者」のイメージとはどんなものでしょうか。もちろん、技術者と一口に言っても実際には色々です。仕事の内容もかなり違うでしょう。ですからそのイメージもまちまちでしょうが、一つだけかなり共通していることがあるように思います。

 それが、「ロジカル」「論理的」ということです。私もいわゆる「理系」の人間ですし、実際に技術者だった経歴をもっています。ですから折々に、「さすが元技術者だけあって論理的だね」みたいなことを何度も言われてきました。まあ、単に「へ理屈ばかり並べやがって」ということを婉曲に言っているだけかもしれませんが・・・。

 私事はさておいて、私は仕事柄さまざまな業種の研究者や開発エンジニアとお付き合いをさせていただいてきておりますが、結論から言いますと、「技術者であることと論理的かどうかは相関性がない」と常々感じています。もし一般人に「技術者は論理的」と映るとしたら、それは技術者がファクトベースで語るからではないかと思います。

 技術の世界では、相手とするものが人ではなくモノやプログラムであることから、観察し、実験をしてみてその結果を鑑みて仮説を修正し、また新たな条件でトライするということの繰り返しが基本となります。いつも自然の摂理と対峙し、法則を見出そうとしているのが技術系ということでしょう。そこには曖昧な要素はなく、自然科学という人が創り出した体系に当てはめて思考を繰り返すのです。この、常に実験結果というファクトに基づいて物理化学の法則に則って説明しようとする姿は、部外者にはとても論理的に見えるかもしれません。ただ、「論理的」という言葉の意味とは微妙に違っているではと思うのです。

論理よりも洞察

 実務に勤しむ技術者は、自分の専門分野における長年の知識やノウハウ、経験や直感によって仮説を無意識の中から引き出しています。いちいちロジックを詰めて答えにたどり着くというような面倒な手順は踏まず、洞察力という自分の暗黙知の跳躍力を駆使して問題解決を図ります。

 その脳内プロセスは超高速であると同時に、普段の暮らしの中でも常時アイドリング状態で解決のヒントとの照合作業をしています。息子を連れて行った遊園地の観覧車を眺めながら突然閃いたり、湯船に浸かりながら思いついたりするのです。

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