チタンTシャツ2枚、チタンパンツ2枚、チタンネックウォーマー2枚。とりあえずこれだけの購入は決めた。けど、まだ渇きはいえていないとみえて、視線は店内を泳ぎ回っている。あ、チタンネックレスがあるではないか。それを見つけるや「一番効くのはどれだ」と聞いてみる。すると店長は奥から特別なんちゃらかんちゃらというエクゼクティブ専用という黒皮のネックレスを出して来た。よし、それも買おう。でも今日はこのへんに、と思ったところチタンスニーカーが現れた。本革の高級バージョンである。それに一度足を通すと、もう逃げられない。それも買い、履いたまま店を出た。締めて5万円也。

 さっそく本連載のN編集担当にその話をすると、「またまたぁ、それって騙されてますよ」などと言いたげな顔をする。「じゃあ、これ肩にかけてみろ」とやってみると「あ、ほんとだ、なんだか肩が軽くなって来たような気がする」などと言うではないか。「おぉ、こやつもそう思うならまんざら化かされたわけでもないらしい、あぁよかった、よかった」と胸を撫で下ろし、ついでにそのTシャツをプレゼントした。

 帰りに失ったTシャツを買いにまた店に寄ると、今回は3000円のクーポン券が使えるという。ではということでチタン枕でも買おうかと聞いてみたら、売り切れているという。「そ、そんなに人気があるのか」とすっかり信奉者になった我が輩は、一も二もなく飛びついて、支払いだけ済ませた。

 首、首周り、上半身、下半身、靴と「オールチタン男」になった。満足である。これで完全健康体を取り戻せるはずだ。「ムははっははは、我が輩は不滅なのである」などと意味もなく高らかに宣言してみたい気分である。


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 帰社するや、今度は弊社の女子社員にその一部始終を話して聞かせた。「うそぉ」とか言うものだから、くだんのチタンTシャツを取り出し、みなの肩に掛けて仕事をさせてみた。すると、「なんだか暖かぁい」とか言い出すではないか。そうだろうそうだろうということで、ついでに買ったチタンの絆創膏セットをプレゼントした。