趣旨
技術が世界を変えている。道具の発明が人類を最強にした。通信と交通の発達は,経済を変え,文化を変えている。芸術も例外ではない。画材の改良が印象派を生んだ。それだけでなく,クロード・モネが切り開いたキャンパスに光を描くテクニックはRGB表示として現在のディスプレイ技術に反映されている。
 良い技術も社会が受け入れなければ捨てられる。そして,内包した矛盾で膨れ上がった社会は技術に解決策を求めている。技術者が世界の主役という視点から,技術と社会の橋渡しをしていきたい。同時に,素材,エネルギー,情報を統合化した視点から,個々の技術の将来性と商品価値を評価していきたい。
 大学人はさまざまな業種のさまざまな人々の話を聞ける。同時に,縛られるしがらみが企業人より少ない。この自由な立場で,技術をネタに言いたい放題をさせていただきたい。めちゃくちゃな発言が,既存製品,既存社会の明日につながれば望外の幸せである。
新誠一(しん せいいち)
九州の産。苗字か血筋か,新しい物好き。ただし,温故知新が身上。真空管からシステムLSI,家電,携帯電話,自動車,ネットワーク,生産・製造システムに,教育,経済,芸術,社会システムと広げ過ぎた手のルーツは制御論,システム論。各種電子制御の秘密を握る。聞き上手に徹しきれないのが難点。好きなことで生きていければ幸せ。電気通信大学教授。(社)計測自動制御学会フェロー,同評議員,同計測制御エンジニア。日本応用数理学会評議員。(財)製造科学技術センター評議員。製造業XML推進協議会運営委員長。FAオープン推進協議会電子タグ活用専門委員会主査。VEC会長。ISO TC184/SC5国内対策委員。Co chair of OMG Super Distributed Object SIG。
著書:
『図解カーエレクトロニクス最前線』,工業調査会(2006)
『ウェーブレット解析の産業応用』,朝倉書店(2005)
『無責任体制の終焉 ―さらば文系,さらば理系―』,名著出版(1997)
『たまごっち学術孝 ―イラストで語る商品創発』,オーム社(1997)
『ハロー!PHS ―マンガとイラストで語るマルチメディア革命』,オーム社(1995)