ニュースが溢れている。追うまでもなく、いくらでも降ってくる。ノックもなしに、いきなり上がり込んでくるやつまでいる。それをつまみ食いして、いつも満腹になった気でいようというのが、当世流なのかもしれない。 だからこそと、天邪鬼の私は思う。ニュースというどこかで起きた事実をなぞっていくのではなく、それを一度は腹に入れ、自分の脳みそをもって思索にふけってみる。それが、大切なことなのだと思う。別に証拠はないけれど。 ところが、都合の悪いことに「下手の考え休むに似たり」などという諺がある。さらには「ごまめの歯ぎしり」とも言う。それをひっくるめてやろうとしてい るわけだから、とても威張れたものではない。それを知りつつメゲない気概を買って、多少の暴論妄言はお許しいただければと、伏してお願いする次第である
思索の副作用
ニュースが溢れている。追うまでもなく、いくらでも降ってくる。ノックもなしに、いきなり上がり込んでくるやつまでいる。それをつまみ食いして、いつも満腹になった気でいようというのが、当世流なのかもしれない。 だからこそと、天邪鬼の私は思う。ニュースというどこかで起きた事実をなぞっていくのではなく、それを一度は腹に入れ、自分の脳みそをもって思索にふけってみる。それが、大切なことなのだと思う。別に証拠はないけれど。 ところが、都合の悪いことに「下手の考え休むに似たり」などという諺がある。さらには「ごまめの歯ぎしり」とも言う。それをひっくるめてやろうとしてい るわけだから、とても威張れたものではない。それを知りつつメゲない気概を買って、多少の暴論妄言はお許しいただければと、伏してお願いする次第である
目次
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さよならハッピー・ワーカー
「どーですか最近」と、コンサルタントをやっている知人に聞いてみたら、意外なことに「この不況でさすがに価格交渉は厳しくなったけど、依頼は逆に増えてきているかも」などという答えが返ってきた。「まあ、それだけ危機感が強まっているということかなぁ」と。
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カイゼン依存症
高校の同級生たちに会った。こんなご時勢である。みなそれなりにしんどい事情を抱えている。だから、近況に属する話はさっぱり盛り上がらない。言えば愚痴になるし、聞いてもよく分からんし、分かってもしんみりするだけだし。で、結局は昔話になる。要するに「あのころは底抜けにバカなことやってたよねー」という、人畜無…
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匠の技かスク水か
「ほぅ」と思った。「実は今,メーカーが最もほしい人材が,本当に優れた技能を持つ『匠』と呼ばれる社員」であり、これからは「班長でありながら,部長級の給料をもらう匠が生まれる時代になる」とか書いてあったものだから。
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続・なぜなら、給料が安いから
何だか不思議な体験をした。お茶の集まりに、「見せたいものがあって」と美術商の知人が、あるブツを持ってきたのである。リサイクルショップの棚でホコリをかぶっていたのだが「いや、ひょっとして薩摩切子じゃないかと思って買ってみた」などという。
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ムダと一緒に捨てたもの
怖い話を聞いた。某大メーカーの幹部が雑誌をパラパラとめくっていたら、大口取引先であるメーカーの広告が載っていた。さっそくその幹部はそのメーカーを訪ね、「いやあ結構なことですな、このご時勢に広告をお出しになる余裕があって」と皮肉ったらしい。そう言われた中堅メーカーでは即日、広告出稿を停止したという。
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中村修二の怒りの矛先
中村修二教授は、やはり吼えていた。久しぶりにお会いしたのだが、日本というか日本的システムというか、そんなものに対する不満は一向に解消されていないらしい。
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スチュワーデスが見える席
あるリンゴに関していささか憤慨している。いや、リンゴが悪いわけでもそれを育てた人に腹を立てているわけでもない。たまたま「奇跡のリンゴ」という話を聞き、どれどれと調べていくうちに嵐のような賛美の声を目の当たりにし、それを読んでるうちに熱いものが腹の底からこみ上げてきたのである。
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本当のことを言う
「オレたち、マスゴミって呼ばれてるんだぜ、知ってた?」。向かいの席で藤堂さんが言う。もちろん知っている。小心者なので、そのことをいたく気に病んでもいる。
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天然疑惑
テレビ報道によると、クレーマーが増加しているらしい。モンスターペアレントならぬ、モンスターコンシューマの台頭である。ファッションメーカーに勤務する妻も、そうそうその通りという。それも、10年も前に購入して飽きるほど着用した洋服を持ってきて「変色した」と返金を迫る客とか、考えられないようなケースが、考…
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京都の秋はMicrosoftの香り
「思うんだけど、かつてのMicrosoftのやり方って、実は京都のパクリじゃないですかねぇ」。『未来予想レポート』シリーズの著者である田中栄氏に、そんな話をしてみた。彼はマイクロソフトのOBでもある。「いやぁ、珍説ですよそれは、聞いたこともない。で、何で?」。そう聞かれたので、ああだこうだと説明する…
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インチキ枕と横長画面
拙宅を大災害が襲った。自宅マンションの上階で給水管のジョイントが外れ、そこから噴出した水が上階の床とわが家の天井を突き抜け、部屋に豪雨のごとく降り注いだのである。おかげで、部屋は床上浸水状態。下階まで被害が及ぶという大惨事であった。ホントに。
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人が本当に学ぶとき
日曜日の昼間に家で食事をしていると、人気鑑定番組の再放送が流れてきた。今回の依頼者は、退職後に趣味で始めた陶芸にはまり、ついには自宅に立派な工房を構え日々制作にいそしんでいるのだという。完成した作品数は数千点にのぼるとのことで、流れた映像をみると、なるほど作品が収められているとおぼしき立派な桐箱が山…
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コーリン鉛筆でわしも考えた
小学生だったころの話である。戦中派の方が校長先生だったのか何だかよくわからないけど、「日本人は質実剛健、臥薪嘗胆だ」みたいな校則が満載の学校に通っていた。当然ながら年中半ズボンで、真冬でも靴下は禁止。石炭ストーブはあったけど、池に氷が張るような日でなければ火は入らない。普段は給食なのだが遠足や行事な…
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なぜなら、給料が安いから
「技術力には自信があるんだけど、どうもカネ儲けがヘタでねぇ」メーカー在籍時代、さらには記者として多くのメーカーで経営者や技術者にお話をうかがうたびに、耳にタコができるほど聞いたフレーズである。文字で書けば自嘲、反省の弁ともとれるが、実際に生でうかがうとそうでもない。ほとんどの場合、笑顔で、ときに誇ら…
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技と技術と日本のココロ
「日本は刃物でゾーリンゲンに完敗した」。ある趣味系雑誌の編集者から聞いた話である。日本の刃物メーカーが自らそう評しているのだという。そんなわけで、次号ではドイツ・ゾーリンゲンの有名メーカー、ヘンケルス(Zwilling J.A. Henckels)を取り上げる予定なのだとか。何でも同社は、MIYAB…
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ゆるキャラ問題を考える《訂正あり》
「本気で気持ち悪いです」。彫刻家の籔内佐斗司氏のホームページに寄せられたコメントである。さらにこう続く…
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保身力
画を売った。江戸後期の山水画で、さほど著名ではない大徳寺の禅僧が描いた掛軸である。入手したばかりだったのだが、知り合いの美術商から「近く交換会(業者によるオークション)があるけど、何か売りたいものある?」と聞かれ、ほかの所持品何点かと一緒に渡してしまった。実は、お金に困っているのである。
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大きいことはエライことではない
深夜に帰宅してテレビをつけると、いきなり「毎日がスペシャール」という聞きなれたビデオカメラのCMが流れてきた。そうかぁ、もう春なんだなぁ。何だか気持ちも暖かくなってくる。
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コスト主義の耐えられない軽さ
絵を買った。狩野融川という人が描いたものの掛軸である。画面の下方には小さな藻塩焼の作業小屋があり、淡く煙が上がっている。その横にはこれまた小さな1本の桜、その横は浜らしく、おだやかな波が見逃してしまいそうな淡さで描かれている。
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だから技術者は報われない
お会いするのは何年かぶりだから、さすがにちょっと老けたかなと思った。でも、せっかちに歩く姿も、甲高い声で熱く語る姿も、昔とちっともかわらない。「1993年からだから、ずいぶん長いですよね」。そう言われて指を折ってみれば15年。その間に、何度も彼に会い、語り、彼と彼の成果について実に多くの記事を書いて…