第4世代(ND)は歴代ロードスターのなかで、室内の容積が最も小さい(図1)。だが、「人が中心」という開発コンセプトでつくられたこのクルマの運転席は、完全な左右対称を実現しており、とても座り心地が良い。

 走行中、ルーフをクローズにした状態でも、狭苦しいとか息苦しいという感覚はなかった。NC(第3世代)と比べて、ヘッドクリアランスが9mm増、シートのリクライニング角度はワンノッチ分の2度増、そしてステアリングとドライバーの腿とのクリアランスは12mm増になっており、その効果を実感した。腿とステアリングのクリアランスは、ステアリングの直径を4mm小さくして、ステアリングシャフトの位置を10mm上の方に移したことで実現した。初代ロードスターが発売開始された25年前と比べて、世界の人の平均身長は脚部を主体に20mm伸びており、そうした変化に対応したのだという。

 またより広い視野を確保するため、前輪のホイールセンターを下げるなどして、ボンネットの位置を第3世代と比較して28mm下げている。その効果として、フロントガラスからの視界は上下に6度、左右に5度広がった。

図1 第4世代ロードスターのキャビン。コンパクトだが居住性は高い。
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