図1◎「iQは市場創造型のクルマ」と説明する、渡辺捷昭社長。
図1◎「iQは市場創造型のクルマ」と説明する、渡辺捷昭社長。
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 トヨタ自動車は2008年10月15日、大人3人と子供1人が乗れるコンパクトカー「iQ」を発表した。新開発プラットフォームを採用し、全長3m未満の小さなボディながら、多くの機能を実現した。発売は2008年11月20日で、価格は140万円から。ネッツ店で販売する。月間販売目標は2500台。高岡工場(愛知県)で生産する。

 パワートレーンは、排気量1.0Lのガソリンエンジン「1KR-FE」にCVT(無段変速機)を組み合わせる。従来よりも小型化・低燃費化を図るために既存の1KR-FEエンジンを改良したほか、新設計のCVTを採用した。最高出力は50kW(68PS)で、最大トルクは90N・m。燃費は、10・15モード走行が23.0km/Lで、JC08モード走行が21.0km/L。2009年初めに発売する欧州では、ディーゼルエンジンモデルも用意する。

 車両寸法は全長2985×全幅1680×全高1500mmで、ホイールベースは2000mm。運転席の後ろには子供が乗ることを想定しており、大人3人と子供1人の計4人が乗れる。サスペンションは新開発で、形式は前がストラット式、後ろがトーションビーム式。小さなボディに合わせて、部品の取り付け点などを専用に設計した。

 小さいボディながら広い室内空間を確保する構造を採用した。前のオーバーハングを短くするために、従来はエンジンの後方にあったデファレンシャルをエンジン前方に移した。
 
 デフの位置を変更したことで、新開発のステアリングギアボックスを採用した。ステアリングギアボックスは、ステアリングシャフトの回転をラック軸の左右の動きに変える機構で、従来よりも上方に配置した。また、エアコンは小型にしてインパネ中央部に収めたことで、助手席側の足元スペースを広くしたほか、助手席のスライド量も拡大した。

 安全装備では、EPS(電動パワーステアリング)とESC(横滑り防止装置)が協調して制御する「S-VSC」を採用した。エアバッグは、助手席用のニーエアバッグや後突用エアバッグをはじめとした九つのエアバッグを備えた。S-VSCと九つのエアバッグは全車で標準装備する。

【動画】「iQ」をビデオでご覧いただけます(制作=BPtv)

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図2◎前のオーバーハングを短くして、広い室内空間を確保した。
図2◎前のオーバーハングを短くして、広い室内空間を確保した。
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図3◎後突時に乗員の安全性を確保するために後部ドアの付け根にエアバッグを備えた。
図3◎後突時に乗員の安全性を確保するために後部ドアの付け根にエアバッグを備えた。
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図4◎インパネ。
図4◎インパネ。
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図5◎運転席。
図5◎運転席。
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図6◎エンジンルーム(ガソリンエンジン)。欧州のディーゼルエンジン搭載モデルと比べると、すき間がある。
図6◎エンジンルーム(ガソリンエンジン)。欧州のディーゼルエンジン搭載モデルと比べると、すき間がある。
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図7◎助手席。エアコンを小型化したことで、助手席の足元スペースを広くした。前面衝突時に乗員が前に移動するのを抑えるシートクッションエアバッグを用意した。
図7◎助手席。エアコンを小型化したことで、助手席の足元スペースを広くした。前面衝突時に乗員が前に移動するのを抑えるシートクッションエアバッグを用意した。
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図8◎後部ドアを開いたところ。後部座席のすぐ後ろでドアが開閉する。
図8◎後部ドアを開いたところ。後部座席のすぐ後ろでドアが開閉する。
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図9◎発表会場(幕張メッセ)を埋め尽くす「iQ」。
図9◎発表会場(幕張メッセ)を埋め尽くす「iQ」。
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