家電のほかに人気なのは,電動アシスト付き自転車である。2005年に2万台だった販売台数が一気に増え,2010年は20万台に達する見込みである。隣国オランダでのブームが波及した後,ドイツ人が好むデザインやスポーツ・タイプなどが登場してイメージが向上し,利用者が一気に増えた。今ではオランダを抜いて,ドイツが欧州一の同自転車市場になっている1)。
参考文献 1) 小野寺,「電動アシスト自転車の販売は好調」,『通商広報』,ジェトロ,2010年11月17日.
電動アシスト付き自転車の平均価格は1000~1500ユーロ(約11万~17万円弱)だが,6万ユーロ(約660万円)弱という製品が登場して話題になっている。レーゲンスブルグ市に本拠地を構えるドイツPG Trade & Sales GmbHが発表した「Blacktrail」である(図2)。667台の限定生産で,2011年から納入を開始する予定。
最高速度は120km/hで,航続距離は約200kmと,125ccのバイク並みの性能を誇る。利用時に最高速度のリミッタを装着すれば,電動アシスト付き自転車もしくは原動機付きバイクとして利用できる。リミッタなしの状態では,ナンバープレートを付ける。自動二輪車の免許を所持していれば,アウトバーンも走ることができるという。
Blacktrailは,カーボンとアルミニウム,チタンを使用したモノコック・フレームに26インチのタイヤを組み合わせている。総質量は16kgと軽い。このモノコック・フレームと自転車の組み立ては,F1レース用のカーボン・モノコック・ボディを作っているドイツUBC Engineering GmbHが手掛けている。
シニア選手権を開催
このほかに,冬は寒さが厳しく,外が暗く,その期間が長いドイツでブームとなっているのが,任天堂の「Wii Fit」である。路面が凍結するため,スポーツ・クラブに行くどころか,ジョギングや散歩にも出られない日に,Wii Fitで家に居ながらにして軽い有酸素運動ができる点がウケている(図3)。
ドイツでは,家庭のほかに介護施設にWii Fitを設置している場合も多い。驚くべきは,2008年にバイエルン州で「Wii Sports」のシニア選手権が開催されたことだ。ミュンヘン市内にある五つの介護施設から,複数のチームが参戦した。2010年には,地域の介護施設と学校の混合チームでの選手権へと発展している。Wii Fitがリハビリや地域間交流,世代間交流のツールとなっているのが興味深い。