適職診断の結果に涙する

就職講座が終わった教室で、返却された資料をめぐって学生たちが何やら騒いでいます。どうやら、数週間前に受けていた職業適性診断の結果が返ってきたようなのです。

占い感覚で「オレ、弁護士に向いているってさ、イエーイ」と楽しんでいる学生もいれば、眉間に皺を寄せて結果を読んでいる学生もいます。中でも、涙目になりながら、用紙を握りしめている女子学生が気になり、声をかけました。

「あの、私、トリマーに向いているって・・・出たんです。私・・・学校変えるべきなんでしょうか」

という返事が返ってきました。

いやいや、そういうことじゃないから。あなたの趣向と似ている職業ってことだかから。

「でも、何がやりたいか、とか、どんな会社にはいりたいかって言われると、分からないし。分からないのは、その仕事に合っていないんじゃないかって」

大学の就職課が、職業適性分析や、ワークブックを通して何かに指標が見つかればと、予算を組んで実施していたのですが、就職活動を控えて不安で仕方がなかった学生には、悩みを深め、迷いを増加させてしまったようです。

4つの視点-どれだけの職業を知っていますか

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学生が悩むのも無理がありません。学生にとって、職業を決めるということは、大人が思う以上に困難を極めるものなのです。

別の大学での話になりますが、入学してまだ数週間の大学1年生にキャリア導入教育の授業をした時のことです。

考えられる自分の可能性を客観的に多角的に考えます。

学びを活かす仕事は、何が考えられますか。
特技を活かす仕事は、何が考えられますか。
趣味を活かす仕事は、何が考えられますか。
興味を活かす仕事は、何が考えられますか。

と4つの視点から将来を考えてみましょう、と聞きました。

学びを活かす仕事は、教育学部の学生は教員、というように学びの延長線上にある仕事を挙げる学生がほとんどだったのですが、問題は学びを活かす以外の仕事です。

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