どうしよう。留学生の日本での就職活動

 「日本での就職活動が不安なので、準備をしていきたいんです。何をどうすればいいか教えてください」と相談に来たKさんは地方出身で、海外の大学に通って3年目に入る日本人です。海外の大学で学士を取った後、日本で就職することを希望しています。就きたい職業が明確で、そのための学びにも自信があります。しかし、海外の大学にいる社会人経験者から

 ・海外インターンシップとして海外で働ける可能性がある
 ・帰国した時に企業にコンタクトを取って採用してもらえた先輩がいる など

まるで奇跡のような武勇伝を聞きかじってすっかり耳年寄り状態になっていました。自分は海外の大学ですごい苦労して勉強しているんだという誇りも言葉の端々に見えます。だから、就職活動にそんなに苦労するはずがない、と自負する反面、確実に内定を取るために絶対に失敗しない方法が知りたいという不安も口にします。

 卒業学年になる前に来てくれたことが、何よりの救いとしましょう。絡み合う複雑な感情を解きほぐしながら、海外の大学に通う日本人の就職活動を困難にしている要素を一つ一つ説明していくことからはじめていきます。

留学は不利?

留学する学生の数

 今、企業が、社内公用語を英語する方針を出し、日本の大学に通う外国人留学生の採用枠を増やすなど、グローバルな人材、チャレンジングな人材を求めると明言しています。それにも関わらず、日本から海外の大学に留学する学生の数は減少しています。文部科学省の発表によると、1987(昭和62)年から2004(平成16)年まで、18年間で約6倍の8万人に増えました。しかし、これをピークに、4年連続で減少し、2008(平成20)年は10年前とほぼ同じ6万6833人まで落ち込みました(右図)。少子化、不況、など複数の要因があるといわれますが、「留学すると就活で不利」という考え方が広まってしまったことが一つの理由として挙げられます。

 さて、Kさん、ここまでで大切なことは何だと思う?「私の留学は不利だってことですか?」ううん、それだけじゃないよ。

 ・企業は英語ができる人材を求めていること
 ・海外大学で勉強しているのはKさんだけじゃないということ

そして

 ・留学生の就職活動において「不利」といわれているものがあるということ

です。

 企業が英語を話せる人材を求めているということは、Kさんにとって有利です。海外大学で勉強しているのはKさんだけじゃないということは、ほかの学生と差別化ができれば有利になると考えることができます。あとは、「不利」といわれているもの考えて、それを攻略できれば、Kさんには有利なものだけが残ると思わない?Kさんの表情がようやく明るくなってきました。就職活動における留学生の「不利」って何か、を考えましょう。