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体の奥まで身に染みた「アジアの時代」

梅谷 哲夫=日経ビジネス 編集長
2009/11/16 12:00
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 来日したオバマ米大統領は11月14日の演説で「アジア重視」を繰り返し強調し、「米国はアジア・太平洋の一員である」と言明しました。同日にシンガポールで開幕したAPEC(アジア太平洋経済協力会議)の議論では「米国の過剰消費に依存した過去の成長スタイルには戻れない」ということが明言され、総合的で長期的な域内の成長戦略を年内に策定することで合意しました。新聞紙面にアジアが踊った週末でした。

 アジア各国・地域の経済誌と提携を進めてきた日経ビジネスは11月11日、「アジア会議」と銘打った国際シンポジウムを開きました。そのプログラムの中で感銘を受けた1つは、中国アリババドットコムCEOである衛哲(デビット・ウェイ)氏の講演です。感銘を受けたというよりも、頭をガツンと殴られたというのが、正直なところです。

 衛CEOは冒頭、「中国や日本、韓国など我々アジアの国々はいったい、今まで何のために競争してきたのか」と問題提起しました。アジア勢がこれまで主なターゲットとしてきたのは米国であり、確かに米国からマネーを引っ張ってきたり、技術を導入したり、広大な米国市場で稼いできた。しかし今、気づいてみると、米国の資金を支えているのは中国と日本だし、技術の面でもアジア勢が彼らを支えている格好ではないか、と。

 今年3月、衛CEOは米グーグルの本社を訪れた際にエンジニアの社員食堂をチェックしてみると、なんと約4割がインド系、約3割が中国系で、7割以上をアジア人が占めていたというのです。自動車など製造業系の技術はもともと日本がリードしてきましたが、IT・ネット系に至っても、今やアジア人が支えているというわけです。

おカネも技術もなかったから成功した

 中国と日本はこれまで米国債の大部分を買い支えてきた格好ですが、結局はそれが、世界経済が米国の過剰消費に依存してきた構造につながり、金融危機で一気に崩れ去ったのです。であれば、我々アジア人は今後、資金も技術も米国市場ではなく、アジア市場のために使うべきであり、「アジアの時代」と言われているのだから、アジア市場を最も重要なマーケットと位置づけるべきだ、と衛CEOは強調していました。

 アリババドットコムは中小・零細企業向けの電子商取引ビジネスで大成功し、急成長しました。なぜアリババは成功したのか。衛氏の答えは、ふるっています。それは「(1)おカネがなかったから、(2)技術がなかったから、(3)計画がなかったから」というのです。何もなかったからこそ、何でも自分でやってみようという強烈な起業家精神が持続し、自らビジネスを切り開いてきたことが強みになったということです。

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