――まず、現在のお仕事の内容を教えてください

徳野氏
日本写真印刷
産業資材・電子事業本部
技術開発本部
第一グループ
徳野 勝己氏(2004年入社)
(写真:吉田竜司)

徳野 当社は複雑な3次元形状でも加飾できる「Nissha IMD(成形同時加飾転写システム)」と、携帯電話機やデジカメなどで使われるタッチ・パネルなどを手がけており、私はタッチ・パネルに使用する材料の開発をしています。

濱井 私はNissha IMDの分野で、お客さまの要望に応える形で既存技術の改良・開発に取り組んでいます。

――なぜ、日本写真印刷を就職先に選んだのですか。

濱井 私は広島生まれで大学も広島でした。大学を出たら違う場所で生活したいとずっと思っていました。就活で初めて当社を知ったのですが、伝統的な出版印刷、商業印刷に加えて幅広く事業を行っていることに興味を覚えました。関東の会社も調べましたが、京都と写真が好きということもありましたし、当社の方がいろんなチャンスがあると思い志望しました。いろいろと自由に提案できると聞いていて、入社してみるとその通りでした。

徳野 私は大阪出身で大学は京都だったのですが、大学とこんなに近いところにあるのに、私も就活を始めるまでは当社を全く知りませんでした。私はほかには真似のできないNissha IMDという独自の技術で勝負していることに会社の可能性を強く感じました。

――徳野さんは空手が相当の腕前とお聞きしました。国公立大学の大会で優勝したり、国体にも出場されたり、今は母校の空手部監督も務めておられるとか。

徳野 学生時代は、勉強はそっちのけで空手ばかりしていました。今も休みの日は空手部の練習を見ています。会社と母校が近く、好きな空手を続けられるということも当社を選んだ大きな理由ですね。

――京都で働く魅力についてお考えをお聞かせください。

濱井 京都は歴史と伝統がある土地。その一方で精密機械や科学機器メーカーなどの先端的な企業が集積している。これは一見すると似つかわしくはないですよね。でもなぜかと考えると京都は昔から職人文化の町。職人たちが技術を積み重ねてきた結果なのだと思います。そんな先人の知恵を継承してものづくりをする町、京都にはすごく魅力を感じます。

徳野 京都には、「この技術だけは絶対に負けない」という企業が数多くある。総合力ではなく、オンリー・ワン企業が多い。当社もその中の一つで、独自の強みを磨いて勝負するというところが自分に合っていると思います。

――仕事をする上でのモットーは。

濱井氏
日本写真印刷
産業資材・電子事業本部
産資生産技術本部
成形技術開発センター
IMD開発部 箔開発グループ
濱井 健太氏(2006年入社)
(写真:吉田竜司)

濱井 仕事では実験の繰り返しで、良い結果、悪い結果が出てくるのですが、なぜそうなるのかを徹底的に追求することがプロだと思う。たとえ分からなくても、自分なりに起承転結をつけて自分なりの結論を持つこと。分からなくて面倒くさい、と思ってはダメで、常にストイックな姿勢で追求するようにしています。私は現代の職人のようなエンジニアになりたいと思っているんです。自分しかできない技術を身につけ、ある分野では誰にも負けない、そんな存在になりたい。そのためには、一つの現象に対して深く自分なりに突き詰めることが大事。その積み重ねが大きな財産になり、新しい課題に直面した時に役に立つと思います。

徳野 エンジニアというのは技術のことが好きで、ついつい技術者の視点や用語でものを言ったりしますが、もっともっとお客さまの立場に立って仕事をすることが大事だと思う。お客さまが理解し、いいと思わないと意味がないですから。お客さまとはこの点を踏まえて、接するように心がけています。また信条として、しんどい時は上り坂、楽している時は下り坂という言葉を肝に銘じています。楽している時は、人生下り坂で、しんどい経験をするからこそ、進歩があるというような意味ですね。

――最後に学生に向けてメッセージをお願いします。

濱井 就活とはお見合いみたいなもの。そして、お見合いが成立して一度会社に入ったら、人生の半分以上は会社で過ごすことになるでしょう。だから入った会社では、徹底的に気の済むまでとことん仕事に打ち込むべきだと思う。

徳野 就職に当たっては、お金がほしいのか、会社の名前を最優先したいのか、あるいは好きな仕事をやりたいのかなど、まず何をしたいのかを明確にすることが大事だと思います。入社後、嫌なことはどんな会社でも必ずあるでしょう。その時に、「自分は何のためにこの会社に入ったのか」と自問できれば、簡単に会社を辞めずに踏みとどまることができる。大学の後輩にもこのことを言い続けています。

日本写真印刷
京都市内の本社受付前にて。大学時代、徳野氏は材料化学、濱井氏は高分子工学を学んだという。(写真:吉田竜司)