日本ガイシは、都内で開催された展示会に「亜鉛二次電池」を出展した。正極にニッケル(Ni)系材料、負極に亜鉛(Zn)、電解液に水酸化物イオン(OH-)を含む水系電解液を用いる。いわば、ニッケル水素電池の負極をZnにした電池である。2017年度内にも、数kWh~数MWhという中型からやや大型の定置型電池として家庭やビル内の蓄電池として発売する計画だという。同社はこの電池を2015年3月に発表し、2017年度の製品化を目指すとしていたが、計画は順調に進んでいるようだ。
負極にZnを用いた電池は、Znの比重が高いことから体積エネルギー密度を高めやすい。しかもZnはありふれた材料で、非常に安い2次電池を実現できる可能性があることから、Liイオン2次電池の有力な代替候補の1つになっている。ところが、放電時に負極から解離したZnイオンが充電時に負極に戻る際に樹状突起(デンドライト)を形成し、それがセパレーターを貫通して正極まで届くことで短絡してしまう課題があり、実用化は進んでいなかった。
これに対し、日本ガイシはデンドライトが貫通しないセパレーターをセラミックス技術で開発した。このセパレーターは、構造が緻密で、Znイオンなどをほとんど通さず、デンドライトも貫通しない。一方で、電解液中のOH-の伝導性は高いという。
屋内での定置型電池として推進へ
日本ガイシは、大型の定置型蓄電池である「NAS電池」を以前から電力系統に連係する再生可能エネルギーの出力平準化などに展開している。ただし、NAS電池は金属Naを使うことから一度発火すると消火が非常に難しい課題があった。「屋内で使うには、より安全性の高い電池である亜鉛二次電池が向いている」(日本ガイシ)。加えて、NAS電池は動作温度が約300℃。一方、亜鉛二次電池は常温で動作する点も屋内利用に向いているという。