欧州の太陽光発電業界団体であるSolarPower Europe(SPE)は3月18日、欧州委員会(EC)がベルギーのブリュッセルで開催した「クリーンエネルギー産業フォーラム」において、欧州の太陽光発電に関する挑戦的なサプライサイド(供給側)産業戦略の概要を発表した(図)。
SPEが産業戦略タスクフォースの支援を受けて作成した論文「An Industrial strategy for solar in Europe(欧州の太陽光発電のための産業戦略)」によるもの。同論文は、SPEが欧州の太陽光産業をさらに成長させるうえで重要とするタスクや提案に関しての詳細を記している。
太陽光のサプライサイド戦略でカギとなる目標としては、2030年までに3000万軒の屋根上に太陽光発電を設置することや、30万人以上の雇用を太陽光関連で創出するなど8項目を挙げている(表)。
# | 具体的な目標項目 | 期限 |
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1 | 30万人以上の雇用を太陽光関連で創出 | 2030年 |
2 | 少なくとも20%の電力需要を太陽光発電で賄う | 2030年 |
3 | 少なくとも3000万軒の屋根上に太陽光発電を設置 | 2030年 |
4 | 欧州域内におけるメガソーラーの導入を加速 | ― |
5 | 建材一体型ソーラー(BIPV)パネルや水上太陽光発電など欧州で開発された革新的な技術の市場投入を促進 | ― |
6 | 太陽光をベースとしたセクターカップリング*1により、電力以外の分野への太陽光の寄与を探索 | ― |
7 | 最先端の太陽光技術による大規模製造施設のために魅力的な事業環境やトップランナー投資プログラムを提供 | ― |
8 | 「環境物品に関する協定(EGA)」の交渉を再開し、国際的なパートナーと共同でグリーンな物品に対する貿易障壁を撤廃し欧州の太陽光企業が新しい市場にアクセスできるよう支援 | ― |
SPEは近年、太陽光発電の需要喚起や製造設備の再誘致といった各種の産業振興を欧州域内で推進すべきといった働きかけを積極的に行っている(関連記事)。
欧州域内では固定価格買取制度(FIT)が終了した国や地域が多く、「ポストFIT」後の太陽光発電という点で日本のはるか先を行く。今回SPEが発表した論文や目標も、太陽光発電を日本で今後どのように普及推進するか検討するうえで参考となりそうだ。