クルマを使ったサービス事業の取り組みが急増している。「モビリティーサービス」や「MaaS」(Mobility as a Service)と呼ばれることが多い。これを商機にしようと、自動車メーカーが本腰を入れ始めた(図1)。

図1 自動車メーカーがサービス事業に本腰
図1 自動車メーカーがサービス事業に本腰
2016年以降の自動車を使ったサービスに関する主な取り組みをまとめた。
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 MaaSの現在の本命は、カーシェアやライドシェアといった「シェアエリング」だろう。ただし、それに次ぐ軸はまだ見えない。MaaSへの本格参入を「有言」した2016年を経て迎えた2017年。試されるのは「実行」力だ。事業の収益性も求められる。

 号砲を鳴らしたのは米国勢だった。米Ford Motor社CEO(最高経営責任者)のMark Fields氏は2016年1月、“脱・製造業”を宣言した。「2兆3000億ドル(1ドル=111円換算で約255兆円)の自動車市場ではなく、5兆4000億ドル(約599兆円)のサービス市場で勝負をする」と語った。米GM社も時を同じくして、ライドシェア大手の米Lyft社と提携。独自のカーシェアサービス「Maven」も開始した。

 奪われるくらいなら自分の手で―。米国の自動車メーカーは、明るい未来だけを感じてMaaSの世界に飛び込んだわけではない。米Uber Technologies社やLyft社といった新興勢力が、スマートフォンアプリを使った配車サービスで急成長した姿を間近に見て、強く脅威に感じたのだろう。

 GM社のMavenはサービス開始から1年が経ち、北米で拠点を拡大させている(図2)。米国とカナダの17都市で展開しており、1時間単位でクルマを借りられる。2017年3月には、月額レンタル制も始めた。「Chevrolet Volt」なら、1100ドル(約12万円)で28日間借りられる。この金額には、駐車場や保険、100ドル相当のガソリン代も含まれる。

図2 GM社はカーシェアサービス「Maven」を拡充
図2 GM社はカーシェアサービス「Maven」を拡充
(a)予約や車両の開錠はスマートフォンから可能だ。(b)「Reserve」と呼ぶ月額レンタルのプランを2017年3月に追加した。写真の「Chevrolet Volt」は、1100ドルで28日間借りられる。
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