ビットコインなど仮想通貨の中核技術を原型とする「ブロックチェーン」。欧米では既に医療分野に応用され注目を集めている中、日本でも幾つかの試みが始まっている。

 ITヘルスケア学会 代表理事で、学会内に医療ブロックチェーン研究会を発足させた水島洋氏(国立保健医療科学院 研究情報支援研究センター長)は、「デジタルヘルスDAYS 2018」(主催:日経BP社、協力:日経デジタルヘルス)のカンファレンスに登壇。「ブロックチェーンを医療にどう活用できるか」と題して、ブロックチェーンの特徴や医療分野における活用例を紹介した。

ITヘルスケア学会 医療ブロックチェーン研究会 代表理事・研究会長の水島洋氏
ITヘルスケア学会 医療ブロックチェーン研究会 代表理事・研究会長の水島洋氏
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医療での活用は「プライベート型」が基本

 ブロックチェーンは、分散取引台帳に契約を自動的に実行するスマートコントラクトと呼ばれる機能を付加した仕組みである。記録(レコード)を分散して参加者が互いにその内容を共有し、ハッシュ値(データを暗号化した値)によって記録の正しさを検証し合える台帳(データベース)だ。

 特徴は、参加者がデータの正しさを検証し合うことで、改ざん性が低いこと。「参加者が持つデータすべてを書き換えなければ、改ざんを隠ぺいすることは困難」(水島氏)だからだ。参加者の認証やデータ秘匿性は他の技術で担保するため、認証技術や暗号化技術とブロックチェーン技術の組み合わせがプラットフォーム開発のポイントになるという。

 ブロックチェーンには、大きくパブリック型とプライベート型の二つがある。前者は誰でもいつでも参加できる形態で、仮想通貨などで利用されている。一方、後者は参加の許可が必要であり、管理者がコントロールする形態。「医療情報においては、閲覧者である医師などを認証する必要があるし、自分の情報管理のために本人認証も必要になる」(水島氏)ため、医療での活用はプライベート型が基本となる。