「デジタルヘルスDAYS 2018」(主催:日経BP社、協力:日経デジタルヘルス)のシアター主催者企画では、「医療現場発のデジタルヘルス ~『医療4.0』時代に向けて~」と題したパネル討論を開催した。パネリストとして登壇したのは、医師でありながら自ら起業した、いわゆる医療現場発のベンチャー3社の代表である。アイリス 代表取締役の沖山翔氏、AMI 代表取締役の小川晋平氏、キュア・アップ 代表取締役社長の佐竹晃太氏だ。

パネル討論の様子
パネル討論の様子
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 沖山氏は、日本赤十字社医療センター救命救急科などで勤務した後、2017年にアイリスを創業。第1弾として、AIを用いてインフルエンザの早期診断を支援する機器を開発中で、2018年11月に臨床研究を始める(関連記事)

 小川氏は、循環器内科医として働きながら2015年にAMIを設立。大動脈弁狭窄症の兆候を診断できるという「超聴診器」を開発中で、200年の歴史を持つ聴診器にイノベーションを起こすことを目指している。

 佐竹氏は、アプリを臨床現場での治療に使うというコンセプトを日本でも実現しようと、2014年にキュア・アップを創業。「禁煙アプリ」や「NASH治療アプリ」を開発、2018年6月には「高血圧治療アプリ」の臨床研究を開始した(関連記事)

 モデレータは、書籍『医療4.0 第4次産業革命時代の医療』の著者である京都府立医科大学の眼科専門医でデジタルハリウッド大学大学院 客員教授の加藤浩晃氏と、同著編集担当者である日経メディカル 記者の増谷彩が務めた。

モデレータを務めた『医療4.0』著者の加藤浩晃氏
モデレータを務めた『医療4.0』著者の加藤浩晃氏
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 パネリストとの議論に先立ち、モデレータの加藤氏はまず、医療4.0時代では医療機器やサービス開発において、どのようなスタンスで臨むべきかを語った。第4次産業革命によって社会が大きく変わる中で、医療現場も変革の時期を迎えるだろうとした上で、医療現場発のプロダクトやサービス開発には、「現場感、制度、ビジネスの3極を理解している必要がある」(加藤氏)と指摘。また、持続的に成長させていくためには、未来への視点を持って研究開発を推進することの重要性を説いた。