タイトルの「『残念ながら』が事業を潰す」は、筆者が経営を実践で学んだ師匠といえる経営者が、日頃から言っていた言葉である。今回は、この内容について述べることにする。

自分の責任とは思っていない?

 「残念ながら、計画未達に終わりました」「残念ながら、事故を発生させてしまいました」――。どの企業でも、経営数値などを社内外に報告・発表する際に、「残念ながら」という言葉が枕詞のように使われることがよくある。

 「残念ながら」という言葉は、「不本意ではありますが…」とか、「意に添わないことになってしまいましたが…」というように、期待されていることが実現できなかったことを意味している。自分はがんばったのだけれど、環境の変化をはじめとした外部環境などでやむなくできなかった、というようなニュアンスがそこにはある。

 筆者はこの言葉を聞くといつも、“この企業は大丈夫か?”という気にさせられる。計画未達の責任が100%自らにあると思っていれば、「残念ながら、計画未達に終わりました」ではなく、「計画が達成できず、誠に申し訳ございませんでした」という言葉になるはずだからだ。「残念ながら」には、「この結果を招いたのは100%自責というわけではない」との感覚が垣間見える。