「利益率」や「在庫回転率」など、経営数字の管理に「率」を使うことは多い。前年実績や計画との対比など、ベースとなる販売数量や販売金額、生産数量が異なる場合は、「率」で比較しないと良くなったかどうか分からないので、ある意味当然のことである。しかし、企業経営を支援するコンサルタントの立場からすると、本当にそれでいいの?と疑問を感じる時がある。

不良率0.1%は良い?悪い?

 実は、率だけでは適切な経営判断ができないことが多い。その最たる例が、市場不良率○○%、工程不良率□□%といった品質不良である。なぜなら、これだけでは発生している件数や金額の大きさが分からないからだ。

 例えば、「市場不良率0.1%」いうのは果たして良いのか悪いのか――。1000台しか販売していない製品ならば、発生した不良は1台のみということになる。ところが、100万台を販売しているなら1000台も市場不良を発生させていることになる。率だけを見ていると、「0.1%だから大した不良ではない」と判断しかねないが、1000台も不良を出していると考えると放置できる問題ではないことは明らかである。

 同様に、品質不良においては、品質ロスコストとして金額で表してみることも大切だ。率では大したことはないと思っていたものも、金額で表すといかに大きな損失かを実感できる。問題の大きさは、率のような相対的数値ではなく、件数や金額などの絶対量で把握して初めて分かるのだ。