波長が異なる複数の光を重ね合わせて白色の光を出力するLEDのこと。白色光の作り方には大きく分けて3種類ある。1つは,青色LEDチップの光を蛍光体材料に当てて黄色の光を出力し,青色と黄色の混色で白色光を作り出すもの。もう1つは,近紫外LEDチップが出す光を複数の蛍光体材料に当てて混色するもの。最後の1つは,R(赤色),G(青色),B(青色)の各LEDを同時に光らせ,混色するものである。

 特に今注目を集めているのが,照明向けの白色LEDである。従来の白色LEDは,蛍光灯搭載品を中心とした照明機器市場を切り崩すには力不足だった。発光効率が低いために消費電力が大きくなる上,1個から得られる光束が少ないので照明機器が巨大になっていたからだ。このため白色LEDメーカーは,携帯電話機のバックライト光源などに向ける小出力品の開発を先行させてきた。

 だが2005年に入って,発光効率が60lm/Wを超える白色LEDが続々と登場し,実用時における光の利用効率が蛍光灯を逆転した。これにより,照明向け白色LEDの実用可能性が一気に高まった。LEDメーカーは,今後も高出力品の発光効率が著しく向上していく開発ロードマップを描いている(図)。

 ただし,照明市場は今後10年近くかけてゆっくりと立ち上がるものとみられる。明るさ当たりの単価,例えば光束1lmを得るための光源の値段を蛍光灯と比較すると,2005年の段階でも白色LEDは約100倍も高いからだ。LEDメーカーの生産設備の拡充や,歩留まりの向上によって,明るさ当たりの単価で蛍光灯と肩を並べられるのは2010年ごろと予測されている。このとき,白色LEDと蛍光灯の明るさ当たりの価格差は2倍程度あるが,白色LEDでは電源回路が簡便になるので照明機器全体で見ると同等といえるという。

照明用途に使えるLED光源の登場
図 照明用途に使えるLED光源の登場
(日経エレクトロニクス2005年4月25日号より抜粋)