一般のDRAMで不可欠だったキャパシタを使わないDRAMの実用化が近づいてきた。2005年内には基礎的な研究段階を脱し,実チップで性能や歩留まりを検証できる段階に入りそうだ。今後数年以内に,混載DRAMの有力な対抗馬に育つ可能性がある。

 2005年1月~2月にかけて,キャパシタ不要のDRAMが製品化に向け着々と準備を整えていることをうかがわせる発表が相次いだ。米Innovative Silicon Inc.は,SOI(silicon on insulator)基板を使ってキャパシタを省いたDRAM「Z-RAM」の技術やIPコアのライセンスを2005年中に始めることを明らかにした。同社は現在テスト・チップを作製中である。2005年2月6日~10日に米国サンフランシスコで開催された「ISSCC 2005」では,東芝がSOIを使うDRAMの技術を発表した(講演番号:25.1)。記憶容量が128Mビットとこれまでで最大のチップを試作中で,シミュレーションながらすべてのセルで正常にデータを読み出せることを示した。