このところ,樹脂を使う小型アンテナの開発が相次いでいる。用途は,無線LAN機器や携帯電話機,UWB(ultra wideband)機器などだ。従来は適用が難しいとされていた,2.4GHz帯など高周波領域にも適用範囲を広げている。携帯電話機などで既に多くの実績がある逆F型アンテナ(PIFA)やセラミック・チップ・アンテナなどに対抗する小型アンテナとして,市場の一角を占めそうだ。

 樹脂製の小型アンテナを提供するメーカーの顔ぶれはバラエティーに富んでいる。オムロンや古河電気工業のように,樹脂の扱いにノウハウを持つメーカーが新たに参入する例もあれば,従来からセラミック・チップ・アンテナを提供していた村田製作所のような老舗メーカーもある。中でも村田製作所は2004年秋,セラミックスと樹脂を混合した材料を誘電体として使う「セラブリッドアンテナ」を製品化すると発表し,他社を驚かせた。「村田製作所はセラミックス一辺倒と思っていたので,正直なところ驚いた。逆に,自分たちの手法に間違いがないものと確信した」(オムロン エレクトロニクスコンポーネンツビジネスカンパニー エンジニアリングセンタ 開発センタ UWB Task Forceリーダーの川村晋一郎氏)。