「弱肉強食」とばかり,ここぞと半導体事業の徹底強化を進める韓国Samsung Electronics Co.,Ltd.。そしてじりじりと土俵際に追い詰められる国内半導体メーカー——。2005年度上半期(4月~9月)の決算結果には,両者の半導体事業の勢いの差が鮮明に表れた。売上高営業利益率で比べると,Samsung社の約28 %に対し,ルネサス テクノロジは0.1%と極めて低く,NECエレクトロニクスに至っては121億円の営業損失を計上した。

 Samsung社が好調だった理由は明快だ。注力する製品カテゴリを高成長分野に絞り込み,「ヒト」「モノ」「カネ」の経営リソースを集中投下する。こうすることで,他社よりコストの低い製品を,より早く市場投入する。同社が力を入れる製品カテゴリの多くは,国内半導体メーカーが得意としている分野と重複する。すなわち,同社が低コスト品を大量に供給すれば,最も早く「食いブチ」を奪い取られるのが国内半導体メーカーという構図が出来上がっているわけだ。今回の決算で,こうした傾向が象徴的に表れた製品が,データ格納用フラッシュ・メモリと液晶ドライバICである。