「これまでの2次電池の電極は,粉末を混ぜたペーストを平面状のシートに塗布するといった工程で製造していた。これからは,その電極の3次元構造にまで細工を加えて製造する。これで,もっといろいろなことができるようになると,電池メーカーから期待が集まっている」(首都大学東京 都市環境学科 材料化学コース 教授の金村聖志氏)。

 2次電池の研究開発の分野で「3次元電池(3 dimensional battery)」という技術に注目が集まっている。電池の電極構造を3次元化することで,特性を高めることを狙ったものだ。

 通常の2次電池では,平面状に加工した正極と負極,そしてセパレータを電解質とともに巻き,円筒形または角形の外装缶やラミネート・パッケージに収納する。それに対して3次元電池と呼ばれるものは,例えばあたかも剣山やひだのような無数の小さな突起物の表面に,正極と負極および固体電解質の層を形成するといった具合だ。それぞれの突起物は直径数10μmでアスペクト比が非常に高い円筒形状で,正極と負極が固体電解質を挟んで向かい合う格好である。