家庭用インクジェット・プリンターの進化が加速を始めた。例えばセイコーエプソンが2005年10月に発売した 最上位機種。従来機種では過去3年間にわたり40秒前後だったL判写真の印刷時間を一気に20秒まで短縮した。

 同社だけではない。キヤノンや米Hewlett-Packard Co.(HP社)も,2005年秋に投入したモデルで写真印刷の速度や画質の大幅な向上を図った。写真印刷に向けた技術革新に各社を駆り立てたのは,街中の写真店などDPE(development,printing,enlargement)業者のデジタル写真サービスに対する危機感である。

 インク・カートリッジや印刷用紙といった消耗品による売り上げを期待するプリンター・メーカーにとって,デジタル・カメラの普及によって急拡大している写真印刷の市場はドル箱といえる。ところがその思いとは裏腹に,現実にはDPE業者によるデジタル写真印刷サービスの伸びが著しい。家庭用プリンターによる写真印刷を,市場規模で2005年にも逆転するとの見方が出てきた。