国内における高精細テレビジョン「HDTV(high definition television)」の名称。NHK放送技術研究所が「高品位テレビ」と名付けて,東京オリンピックが開催された1964年に研究開発をスタートした。この時に目標にしたのが「より臨場感のあるテレビ」の実用化である。そこで画面の迫力を増すための手法として高精細化を選んだ。精細度を高めることで,画面から人までの視聴距離が同じ場合に,より大画面にしても映像の粗さが目立たなくなる。NTSC方式では画面の高さに対して6倍~7倍の距離を取って画面を見る必要があったが,ハイビジョンでは3倍程度になるように走査線数を跳び越し走査を前提に1100本以上にした。同様の理由でアスペクト比も16対9と,横長画面を採用。そして映像の伝送技術として1983年に開発したのがアナログ伝送方式のMUSEである。