僕がナノファルコンを通じて皆さんにお伝えしたいのは、「ものづくりの分野でもギネス世界記録は活用できる。いや、活用すべきだ」ということです。というのも、ナノファルコンを取材して初めて知ったのですが、ギネス世界記録には、ものづくりの分野でも使いやすい「ある仕組み」が盛り込まれているからです。「ファストトラック」と呼ばれるものです。

ナノファルコンの企画者
ナノファルコンの企画者
シー・シー・ピーのトイ・ホビー部企画チーム企画1担当の堀芳(かおり)さん(中央)と、同部デピュティゼネラルマネージャーの石野雄士さん(右)。

 勘の良い方はお気づきだと思いますが、ファストトラックとは、ディズニーランドで言うところのファストパスと同じ仕組みのこと。ギネス世界記録を運営するギネスワールドレコーズジャパン(本社東京)には、数多くの申請が寄せられるため通常なら申請を受理/審査してもらうまでに数カ月を要するといいます。しかも、いつ認定を受けられるかの予想が付かないため商品の発売に間に合うか分かりません。パッケージに印刷するとなれば発売の数カ月前には認定を取得したいところですが、その計画が立てられないわけです。

 ファストトラックを使えば、こうした問題を解決できます。通常なら数カ月かかる「受理」「審査」といった処理をそれぞれ約1週間で進めてもらうことができます。ただし、それぞれの処理に対して課金されるため、認定までにかかる期間を短縮するには数百万円のコストが掛かるのだそうです。それでもシー・シー・ピーは、認定取得の道を選びました。結果としてナノファルコンは高い認知度を得て大ヒットを飛ばしましたので、事業戦略としては正しかったと僕は考えています。