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浜田基彦の「走る 曲がる 止まる」

【走る曲がる止まる】バイオ燃料は永久に不滅…ではありません

2006/12/13 10:49
浜田 基彦=日経ものづくり
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 恐ろしい話を聞いた。バイオ燃料のように農産物から作るものは再生可能な資源で,石油を使い切った後には私たちの子孫を支えてくれると信じていた。不勉強ですみません。それが実は有限なのだという。

 理由はリン資源の枯渇。リンを作るリン鉱石の埋蔵量を年間の使用量で割ると,あと300年で品切れになる。化学肥料の3大要素であるリン酸が手に入らなければ,今の農業は維持できない。食料,飼料だけに使って300年なのだから,燃料にまで使えば,それをもっと引き寄せてしまう。原油の40年より長ければ,やる意味はもちろんあるが,かなりがっかりではある。

 地下から掘り出せないのなら,リンを循環使用することを考えた方がよい。土壌に染み込んだ分はそこそこ役立つし,集めるのが難しい。川から海に流れた分は,プランクトンに食わせて小魚に食わせてさらに魚に食わせて生物濃縮。大型魚を食べる時,骨を捨てずに回収することはできそうだ。

 「グアノ」を人工的に作ることができれば有望だ。グアノは海鳥のフンが固まって岩のようになったもの。リン鉱石と比べれば微々たるものだが,今も資源として役立っている。海鳥は魚を骨ごと丸呑みするから,そのフンにはリンが多い。人間が待ち構えているところを選んでフンをしてもらえればよいのだが…,うーん,どんな技術が必要なのか想像もつかない。

 あとは肥料を使わない木質の原料を使うバイオ燃料。これは食料との奪い合いになりにくいという点でも有望だ。燃料にならないリグニンを取り除く必要があるなど歩留まりが低く,燃料が出すエネルギーより燃料を作るエネルギーの方が多いような状態だ。それでも真面目に研究すれば結果は出るのではないか。


▼下水処理場はリン鉱山

三菱電機の試験プラント

 バイオエタノール溶液の,純米だの本醸造だのをなめながらそんな話をしていた矢先,三菱電機が気になる下水処理の技術を発表した。下水汚泥に含まれるリンの90%以上を回収するという。同社も300年先をにらんでいるわけではなく,処分に困っている汚泥の量を減らすことの方が動機としては優先だ。

 嫌気性消化の前に「オゾン・アルカリ処理」をする。これでメタンガスの発生量が2倍近くに増えて,エネルギーとしても得をする。汚泥が減り,しかも大事なリンが取れる。食物連鎖の頂点にいる人間からリンを取るのだから,生物濃縮という意味では正しい。

 「導入目標は年間600万kL」なんてぶちあげちゃった安倍首相も,いつかはなくなることを理解してから動いた方がいい。「余った米を生かして」というのは,グッドアイデアではあるが,少なくとも“骨太”ではない。リンというワンクッションはあるのだが「掘りつくしたら終わり」という意味で,バイオ燃料は化石燃料と同類なのである。

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