【走る曲がる止まる】ドカドカ揺れない2気筒エンジン,BMW,ヤマハ2社のバランサの違いは
「ヤマハ発動機にもありましたが…」
3月末に「BMWが並列(直列)2気筒用のバランサを開発 」というニュースを書いたら,「Fマン」さんから上のよう なコメントをいただいた。すみません,不勉強でした。Fマ ンさんは記事の内容にたびたび鋭い指摘をしてくださる方 で,お会いしたことはないが,大切なお客様である。
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ヤマハがバランサ付きのエンジンを持った大型スクー ター「TMAX」を発表したのは2000年。当時は輸出専用モデ ルだということもあったのか,記者発表はナポリ。不勉強 の言い訳をする気はないが,ナポリはちょっと遠い──, しっかり言い訳してますが。
ヤマハというのは変に謙虚なところのある会社で,すご いことをやっているのに自慢が足りない。こちらが掘り起 こして報道しないと分からないことが時々ある。某社に納 めている8気筒エンジンなどは,書きたいことがいっぱいあ ったのだが,客先の都合もあるのだろう,発表したがらな い。
で,タイミングがずれてしまったが,BMWとヤマハを並べ て紹介する。
▼往復運動に
は往復運動で
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きっかけになったBMWのバイクは「F800S」「F800ST」。エ ンジンの下にある重りを上下に往復させることで振動を打 ち消す。
4サイクルの並列2気筒エンジンは,両気筒の爆発間隔を360 度にすると,ちょうど爆発を等間隔にできる。4サイクルは 720°で一巡りするから,両方のピストンピンは同じ位置に くる。ピストン,コンロッドといった質量の大きな部品が2 気筒分同じように往復運動するため,大きな振動が出る。 普通はその質量と釣り合わせるためにクランク軸に重りを 取りつけて回す。これは「往復運動を回転運動で釣り合わ せる」という,かなり無理なことをしているため,上下方 向以外の振動成分が残る。
新機構は,釣り合わせる重りを上下に運動させ,ピストン が上下に動くことによる振動を打ち消す。クランク軸上, 両方のピストンを動かすピンの中間に第三のピンを設ける 。エンジン側面(バイクとしては正面)から見ると4ベアリ ングの3気筒エンジンのようなクランク軸になる。ただし, 3気筒エンジンのピンがエンジン正面から見て120°間隔の3 カ所にあるのに対して,新機構はピストンにつながる2つの クランクピンは同じ所にあり,中央のクランクピンはそれ らと180°離れた反対側にある。中央のクランクピンから下 に伸びたコンロッドに重りを取りつける。
こうすると,ピストンやコンロッドが下がる時に重りが上 がる動きになり,両方の動きが打ち消し合って振動を減ら すことができる。
重りにはもう1つ,ほぼ直交する向きに別の長いスイングア ームを取り付け,その反対側は変速機をまたいだ遠い場所 に固定する。スイングアームはこの固定端を中心にした円 弧運動をする。
▼原理を取る
か,構造を取るか
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ヤマハのTMAXもやはり並列2気筒エンジンで,下側(エンジ ンを倒して積むため,車体でみると後方)の中央に重り用 のピストンがある。これはアルミニウム合金製でピストン ピンもあり,普通のピストンに近い。シリンダ内を案内さ れて動くため,完全な往復運動をする。イメージとしては “3気筒目”に近い。
両社の方式には一長一短がある。重りが直線運動をすると いう意味では,ヤマハの方が理屈に合っており,余計な成 分の振動を発生しない。BMWは,重りは上下運動はするが, 完全な直線運動ではなく円弧運動するため,この差の成分 が加振力として残る。
ただし,ヤマハのやり方ではピストンを受けるシリンダが 必要になり,それを支えるために,ある程度立派なブロッ クが必要になる。ちょっとした“水平対向エンジン”を造 る覚悟が要る。これに対してBMWは支点のある1点だけ剛性 を高めればよいから,ブロックの設計を大きく変える必要 はない点が有利と言える。
スクーターの「TMAX」はともかく,「F800S」は好評爆発──というわけにはいかないかもしれない。バイクは趣味の道具だから「2気筒らしくない」などと言われそうだ。「Vツインらしい鼓動が」「単気筒独特のビートが」というのが好きな人たち相手の商売だからだ。
それでも進歩の方向としては正しい。こだわりやウンチク を忘れて機械と人間の関係を見れば「エンジンなんて揺れ ないに越したことはない」のである。






























