【御堀直嗣のテクニカル・インプレッション】新型アウデイA4:アウデイ初のCVT「マルチトロニック」の実力は?
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新型アウディA4は、2リッター直列4気筒エンジンのFF車にマルチトロニックと呼ばれるCVTを採用した。このマルチトロニックは、日本に導入されるのは初めてだが、欧州では一年半ほど前からA6に搭載され、実績を積んでいる。 ドイツのクラッチメーカーLUK社とアウディが共同開発したマルチトロニックは、国産車で馴染みのあるコマを使いトルクを押して伝える金属ベルト式CVTと異なり、リンクプレートをピンでつないだチェーン方式により、引っ張りでトルクを伝える。この方式は大きなトルクを伝えられるのが特徴とアウディは話す。そして、310Nmのトルクに対応できるという。新型A4には300Nmの最大トルクを発生する3リッターV6エンジン搭載車も設定されているが、4WDのクワトロに搭載されているため、マルチトロニックとは組み合わされない。エンジンを縦置きにして駆動系を構成するアウディの場合、CVTでは後輪へ動力を伝えるプロペラシャフトの出力軸がセンターからずれ、4WDに使えないからだ。 欧州では、旧A4の場合、その90%前後がマニュアルトランスミッションで市場に出回ったが、先にマルチトロニックを投入したA6では、オートマチック比率が11%から22%に増加したという。そこで、A4でもマルチトロニック比率が15%程度に達するのではないかとアウディでは予測している。 このように欧州でもマルチトロニックが好まれる理由をアウディは、マニュアルシフトとほぼ同じ燃費を達成していること、加えてマニュアル操作で6速トランスミッションの味わいを手に入れられることと説明している。 今回試乗したのは、SEという上級グレードのモデルで、本革のパワーシートが付くなど内装が標準車と異なる。可変カムシャフトコントロールを装備した最高出力96kWのエンジンは、最大トルク195Nmの90%を2300〜5000rpmで発生する。これをCVTのマルチトロニックで走らせると、実に軽快に発進する。軽くアクセルペダルを踏み込むだけで、スッとクルマが動き出すのだ。そして気が付くと、かなりのスピードに達している。 試乗をした場所が、欧州の環境に近いことから選ばれた北海道屈斜路湖周辺であったため、瞬く間にスピードは高くなっていった。マルチトロニックは、発進クラッチとして、ツインプレートの油圧制御クラッチを持つが、クリープが与えられており、トルクコンバータを備えたオートマチックと同じ様に扱える。走り始めてからのエンジン回転の制御は、体感するスピード感覚との間で違和感を生じないように調整されている。 トルクを有効に活かした走りは、スポーティな味わいを十分に発揮している。またチェーンの静粛性は非常に高く、運転している間、室内で騒音を耳にすることはなかった。シーケンシャル方式のシフト操作によってマニュアル感覚を楽しめるが、こちらも想定された各ギア比への移り変わりが非常に滑らかで、いわゆるシフトショックというものは存在しない。ギアが無いのだから当然と言えばそうなのだが、マニュアル感覚を楽しみながらショックが無いことで、例えばシフトダウンでエンジンブレーキを効かせてもクルマの挙動が安定を保ち、安心感があって良い。 滑らかで上質な走りと、スポーティさを感じさせる加速、クリープを与えられバックもしやすい扱い易さ、室内の静粛性、加えて燃費の良さを考えれば、もはや通常のオートマチックを選ぶ理由が見付からなくなる。欧州でも人気を高めつつあるマルチトロニックの実力は、ユーザーに高い満足を与えるだろう。新型A4では他に、エンジンが新しくなり、サスペンションもアルミを多用するなど軽量化がはかられている。 エンジンは排気量が増えたことで自然吸気でもトルクにゆとりが生まれた。2リッターの直列4気筒はマルチトリニックとの組み合わせでスポーティな加速を実現しているし、A4のモデルチェンジにあわせてデビューをした3リッターV6エンジンは、4WDのクワトロを装備することで車両重量が1660kgに達するが、最大トルク300Nmの90%を2200〜5000rpmで発生するエンジン特性によって、高級車らしい豊かな加速感をもたらす。ちなみにこのV6エンジンは、レーシングエンジンの製造で知られるコスワース・テクノロジー社の鋳造技術を取り入れ、軽量かつ高剛性のアルミブロックを実現している。 サスペンションは、軽量化が効果を発揮し、ハーシュネスが十分に抑えられ、冬場の雪で荒れた北海道の路面でも快適さが保たれた。また、ロール角を従来に比べ12%抑えたことによる安心感のある安定したコーナリングも実感することができた。ただし、走行全般にわたってタイヤのグリップ感が薄く、コーナーへ向けてステアリングを切り込む際の進路が決まりにくいという不安は、2リッターのFFでも3リッターのクワトロのどちらでも感じられた。直進安定性は良く、スピードに対する不安は少ないのだが…、それだけが唯一の心残りだ。 ボディが大きく、室内も広くなり、そして内装素材の質の高さや色使いの美しさなど、総合的な魅力を増した新型アウディA4は、これまでの量販車種というイメージを覆す、高級なセダンに仕上がっている。 |
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| [図1]プラットフォームから一新した新型「アウディA4」 |
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| [図2]マルチトロニックの変速機構。金属ベルトではなく,チェーンを使う |
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| [図3]マルチトロニックの車両搭載レイアウト。出力軸が車体の中心からずれるので,4WDには使えない |
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![[図1]プラットフォームから一新した新型「アウディA4」](/members/AT/ATCOLUMN/20010622/2/audiA4.jpg)
![[図2]マルチトロニックの変速機構。金属ベルトではなく,チェーンを使う](/members/AT/ATCOLUMN/20010622/2/multitronic1.jpg)
![[図3]マルチトロニックの車両搭載レイアウト。出力軸が車体の中心からずれるので,4WDには使えない](/members/AT/ATCOLUMN/20010622/2/multitronic2.jpg)






