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2004年も,残すところあと1カ月。台風や地震が日本各地を襲い大きなつめ跡を残した一方で,経済界は明るさを取り戻した。自動車やデジタル家電を中心に「過去最高益」を更新する企業が相次ぎ景気回復が鮮明になった。これまでの身を切るリストラ効果に加え,消費者の購買意欲をくすぐる商品が出てきたことが背景の一つにある。
そんな2004年の話題の商品を見ると,材料を上手に使いこなした例が数多くあることに気付く。日本経済をけん引する自動車では,ホンダが2004年10月に発表した高級セダン「レジェンド」が代表格(図)。8年ぶりのモデルチェンジとなった,このクルマの最大のウリは,4輪駆動力自在制御システム「SH-AWD(Super Handling All Wheel Drive)」。4輪のトルク配分をコントロールし,高速でカーブに進入してもアンダーステアが発生することなく意のままの走りを実現する。この世界初の走りは,高度な材料技術があって初めて可能になった。
好調なデジタル家電,その一翼を担うデジタルカメラでは,2004年9月に発売されたカシオ計算機の「EX-S100」が光学ズーム搭載機として世界最小サイズを果たした。幅88×高さ57×厚さ16.7mmという小ささを支えた要素技術が,透光性セラミックスを用いたレンズ。これなくして世界一の称号を得ることはできなかった。
こうした例は,何も最終製品に限らず,電気二重層コンデンサや軸受といった部品を含め製造業全般で広く見受けられる。当然のことながら,材料を駆使して最終製品や部品の付加価値を高めたり他社との差異化を図ったりするという手法自体は,取り立てて目新しいものではない。しかし,それがここにきて目立つようになってきたのには,心理的な要因と構造的な要因の二つがある。
本質を変えられるのは材料
まず,心理的な要因とは,材料活用に対するマインドが高まってきたことをいう。
これまで『日経ものづくり』では事あるごとに,日本の製造業が強さを取り戻すための方策の一つとして「製品や部品の高付加価値化」が有効であることを指摘してきた。もちろん,高付加価値化にはさまざまな手法がある。他社がアッと驚く企画で勝負するもよし,他社にまねできない斬新な設計で圧倒するもよし。ここで話題にしている積極的な材料活用でも,もちろんよい。しかし,だ。
「物にもよるが,製品や部品をガラリと本質から変えるポテンシャルを持つのは材料」(クラレつくば研究所,兼オプトデバイス商品開発センター長の佐藤寿昭氏)。今,日本の製造業に求められているのは,小手先の手法ではない。それでは国内の競合他社はもちろん,中国にもやすやすと追い付き追い越されてしまう。必要なのは,一朝一夕ではまねできない確固たる技術に裏付けされた本当の強さ。それを目指した時,「材料が大いに期待されていることを感じる。実際,ユーザーさんから話はたくさんもらっている」(日本ゼオン総合開発センター所長の夏梅伊男氏)。
高付加価値化の手法はあまたあれど,本当の強さを求めたときに材料活用はとりわけ有効。こうした認識から,材料に未来を託そうとするユーザーが増えてきているのだ。
(以下は日経ものづくり2004年12月号に掲載)
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