三洋,シリコン系排水のリサイクル事業を本格展開
三洋アクアテクノ(本社:群馬県大泉町)は、半導体工場から排出されるシリコン系排水を濾過して生成したシリコン汚泥を、溶鋼用の脱酸材としてリサイクルして販売する事業を11月から開始する。これまでシリコン汚泥は、埋め立て処分やセメント原料などに使われるかたちで廃棄されていた。三洋アクアテクノは、これを独自の技術で資源として有効に再利用する。
同社が溶鋼用の脱酸材とした販売するのは、同社製のシリコン系廃水処理装置「アクアローザ」で濃縮、さらに脱水した「PSiP」(ピュア・シリコン・ペースト)と呼ぶ汚泥。従来方式でシリコン系廃液を処理すると、シリコン含有率が50%程度の汚泥を生成するのが限度だった。しかし、アクアローザで濃縮処理し脱水した汚泥だと、シリコン含有率が90%以上になり、資源として十分利用できるものになるという。
これはアクアローザで処理したシリコン系排水の濃縮液におけるシリコン濃度が2万mg/リットルにまで濃縮できることによる。従来方式での濃縮では、5000mg/リットルが限度だったという。このように高濃度でシリコンを濃縮できるため、脱水した汚泥のシリコン含有率も飛躍的に上げることができた。
同社の酒井政治社長によれば、「日本の半導体生産で最終製品として残るシリコンは、原材料の約20%。80%は何らかの方法で廃棄されていた。この廃棄されていた分を資源として有効活用できないかを考えた」という。同社は川鉄テクノリサーチ(本社:東京都千代田区)と共同でシリコン汚泥の再利用に関する研究開発を行い、このほど環境大臣が認定する再生利用認定(平成15年第22号)を取得、事業化にこぎつけた。なお、民間企業だけによる研究開発で再生利用認定を取得したのは、今回が初のケースとなる。
PSiPは同社が半導体工場から回収し、アサヒ炉材(本社:岡山県備前市)が乾燥・粉砕・整粒して脱酸材製品にする。製品化した脱酸材は、製鉄会社で利用されることになるが、まずダイワスチール(本社:神戸市)での採用が決まっている。
酒井社長は「現在回収できるPSiPは、月間3.8トン。これを2005年10月には月間50トンまで引き上げたい」としている。また同社の上杉浩之顧問によれば、「PSiPのシリコン含有率が上がれば、脱酸材以外の用途も数多くある。技術的には含有率を引き上げることは十分に可能。太陽電池の素材としての利用も考えられる」という。
ただし、課題もある。PSiPを生成するためには処理装置のアクアローザが必要だ。この装置の価格は数百万〜3000万円程度。投資としてはさほど大きくない。しかし純度の高いPSiPを得るには、不純物をできるだけ含まないシリコン系排水を集めなければならない。これを実現するためには、半導体工場の排水系統を見直し、新たな排水設備を作らなければならないケースがほとんどという。「要はゴミの分別回収と同じ。排水も分別しなければならない。このため新たな投資が必要になってしまう」(酒井社長)。こうしたシリコンの再利用と廃棄物削減による環境負荷の低減を、半導体製造企業がどのように考え事業の中で価値を見いだすかが、このような事業が普及するかどうかの鍵になるだろう。(田中 一実=BizTech編集部)












