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日経エレクトロニクス2004年7月5日号
Cover Story

エターナル・ストレージ 永久記憶媒体

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2004/06/30 15:14

西暦2500年
ある歴史学者の日記

 「2500年7月5日。晴れ。かつて繁栄した東京の湾岸と呼ばれていた地域で遺跡の発掘を始めて,はや1カ月。いよいよ探し求めていた21世紀初頭の地層にたどり着いたようだ。

 大学で歴史学の研究を始めたのは今から30年前。それ以来ずっと,アナログからデジタルへと文化が移り変わった20世紀〜21世紀に,どのように人々の生活が変貌したのかを知ることにずっと情熱を注いできた。

 2010年ころから後は簡単に調べが付いた。代々続く旧家にあるホーム・サーバに蓄積された膨大な量のデータを調べてみると,その家の先祖の残した写真やビデオ,日記などがほとんど失われずに残っているからだ。21世紀に入ってしばらくすると各家庭に「エターナル・ストレージ」なる装置が普及し,デジタル・データを永続的に残す仕組みが整ったためらしい。データを保存し続けることなど,今では極めて当たり前の話だが,そのころの庶民にとってはさぞかし画期的だったに違いない。おかげでこちらも大助かりだ。500年の歳月を経ても,まるで昨年のことのように当時の人々の暮らしぶりを生き生きと再現できる。

第1部<露呈する歪み>
忍び寄るデータ保存の危機 消失のリスクを回避へ

デジタル・カメラやHDD内蔵型DVDレコーダなどの普及によってユーザーが日々生み出す大量のデジタル・データが家庭内に蓄積され始めた。その陰で,記録媒体から読み出せなくなったデータを復旧するサービスの利用者が増えている。蓄積されるデータ量が増加するに従い,これらが消失するリスクは高まるばかりだ。デジタルで記録した「思い出」を残し,子や孫に伝える環境をユーザーに提供するには一刻も早くこの状況を解決する手段を見つけなくてはならない。データを永続的に保存できるストレージ技術のみがそれを解決する。

第2部<足元を見直す>
家電の突き付ける環境が 媒体の寿命を延ばす

光ディスクやハード・ディスク装置といった記録媒体を長寿命化する動きが活発になり始めた。データの保存性の高さがこれまで以上に製品の付加価値として注目されつつある。キッカケはDVDプレーヤやデジタル・カメラなどのデジタル家電への採用。家庭という多様な環境で長期のデータ保存を保証するにはこれまでと比べ物にならないほど高い信頼性を実現しなければならない。記録媒体そのものの劣化の防止はもちろん読み書きに使う機構部品の構造見直しなども必要になる。

第3部<全体を見渡す>
「データ主体」の発想で 家庭内ストレージを再構築

家庭内の掛け替えのないデータを永続的に保持していくためには記録媒体の寿命を超えるデータ主体のストレージ・システムを構築する必要がある。単一の記録媒体に頼らず,ネットワークで束ねた複数の記録媒体で保護する仕組みをユーザーが意識しない形で実装する。実現のカギを握るのが,記録媒体の仮想化と,連携手順の共通化,保存条件の記述方式の標準化である。これらの要素技術は既に登場している。

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