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ゲーム・ソフトに頒布権なし,東京高裁がエニックスの控訴を棄却(2001/3/28)
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図1 判決を受け上昇側が開いた記者会見
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図2 判決文(上)と判決主文(下)
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東京高等裁判所は2001年3月27日に,ゲーム・ソフト大手のエニックスとゲーム・ソフト販売チェーン大手の上昇が争っていた中古ゲーム・ソフト販売に関する控訴審で,エニックスの控訴を棄却した。エニックスには著作物の中古販売を許諾する権利(頒布権)がないという東京地方裁判所の1審判決を支持する結果となった。エニックスは今回の判決を不服として,最高裁判所に控訴する構え。
ゲーム・ソフトは映画か
この訴訟は,エニックスが上昇に対して中古販売の差し止めを要求したことに端を発している。「ゲーム・ソフトの中古販売はゲーム・ソフト・メーカの正当な販売機会を奪う」というのが,差し止めを要求したエニックス側の主張だ。
この要求を受けて上昇は1998年10月に,「エニックスには差し止め請求権がないことを確認する」訴訟を東京地裁に提起した。その後,この訴訟は両社だけにとどまらず,小売店とゲーム・ソフト・メーカ,それぞれの業界団体間の争いにまで発展している。
裁判で争点となったのは,「ゲーム・ソフトが映画の著作物に当たるか,否か」である。頒布権は著作権法で「映画の著作物」だけに許された権利。ゲーム・ソフトが映画の著作物でなければ,頒布権は認められないことになる。この議論に対して東京地裁は1999年5月に,「ゲーム・ソフトは映画の著作物ではない」とする判決を下した。この判決を不服として,エニックスは東京高裁に控訴していた。
頒布権の定義を変える判決
今回の東京高裁の判決は,地裁判決をさらに1歩進める判決となった。ゲーム・ソフトは映画の著作物に該当すると認定しながらも,頒布権は生じないという判断を示した。
東京高裁は判決文で,著作権法で定められた頒布権は「少数の複製物のみが製造されることの予定されている場合のもの」に限定して与えられるべき権利とする新しい解釈を示した。頒布権に関する条文は,映画業界の配給制度を前提として作成しており,現状のパッケージ・ソフトの流通には当てはまらないとの判断を提示したのである。
つまり,ゲーム・ソフトのように「大量の複製物が製造され,その一つ一つは少数の者によってしか視聴されない場合のもの」(判決文から)には頒布権が認められない。これはゲーム・ソフトだけでなく,ビデオや音楽のパッケージ・ソフトなどにも頒布権を認めないと判断したに等しいとの見方が強い。「今回の判決で東京高裁は,ゲーム・ソフトだけでなく,ビデオ・ソフトなどのパッケージ・ソフトも含めて検討したうえで,頒布権はないと判断している。その意味では,大量生産して流通するパッケージ・コンテンツ全体に影響する判決ともいえる」(上昇側弁護団の藤田康幸弁護士)。
エニックスは上告へ
頒布権を認められず敗訴したエニックスは,高裁判決を不服として直ちに最高裁に上告する方針だ。「ゲーム・ソフトに頒布権が認められなければ,消費者にとって大きなマイナス。頒布権を獲得して,許諾料を徴収する中古販売のルールを浸透させたい。最高裁判所では今回の判決が覆されることを期待する」(同社代表取締役社長 兼 最高執行責任者の本多圭司氏)。
これに対して,勝訴した上昇を支援する小売店側の業界団体「テレビゲームソフトウエア流通協会(ARTS)」は,「裁判所がゲーム流通の実態を正しく把握されて適切な判断を下されたことに敬意を表します」との声明を出した。同協会の代表理事を務める新谷雄二氏は,「ゲーム・ソフト・メーカに対してはこれまでも,頒布権を前提としないならば話し合いの準備があると一貫して申し上げてきた。中古販売額の1%〜3%の範囲で対価を支払う用意はある」と語り,和解に向けた妥協点を示した。(堀切近史,高橋史忠)
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