谷島宣之の「さよなら技術馬鹿」
目次
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Tech-On!読者と「ダイソンする」を考える
前回本欄に書いた「ダイソンしてますか?」はおかげさまで好評であった。やはりジェームズ・ダイソン氏は技術者の間で人気がある。今回は、Tech-On!読者から寄せられたご意見をもとに、「ダイソンする」について考えてみたい。
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「ダイソンしてますか?」
先週、本欄担当の鬼編集者、赤坂氏から原稿催促のメールが来たので、慌ててTech-On!のトップページを見たところ、そこには「ダイソンに負けるな」と書かれた、掃除機の特集記事が掲載されていた。それを見て、突然、ダイソン氏のことを本欄に書かなければならぬと思い立った。なぜならダイソン氏こそ、あっぱれな…
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見るところを見、見ない処は見ない
ほんの出来心で本欄に挿絵を書き始めた。それでやめておけばよいのに四コマ漫画まで描き始めた。こうなると、結構まとまった作業になるのだが、仕事ではない。イラスト料をもらっていないからである。つまり、挿絵の描き手ではあるが、プロの挿絵作家ではない。
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何が技術者を殺すのか
今回は、同一テーマのコラムを3本ほぼ同時に書き、3つのサイトで公開することを試みたい。3つのサイトとは、このTech-On!、それからIT関連プロフェッショナル向けサイトのIT Pro、そして日経ビジネスEXPRESSである。取り上げるテーマとして「何が技術者を殺すのか」を選んだ。やや極端な物言い…
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日本の「西洋式偽文明」
「現在日本の西洋式偽文明が(中略)無味拙劣なるものと感じられる(後略)」。この厳しい一文は、永井荷風の『日和下駄』に出てくる。荷風は、明治大正昭和の三代にまたがって活躍した文学者だが、日本の近代化に背を向け続けた。平成の我々は、荷風の時代よりさらに近代化・西洋化が進展した社会に済んでおり、そのこと…
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テクノロジーはサイエンス?
日経ビズテック編集部は「技術経営メール」と呼ぶメールマガジンを発行している。名称を「ビズテック・メール」にしないのかと聞かれると「色々な理由でこうしています」としか説明できない。ブランドの取り扱いは本当に難しい。
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マーケティングも技術者の役目
「マーケティングの雑誌を作ったらいかがですか。最新理論とケーススタディを掲載した、しっかりした雑誌に仕立てたら、必ず読者が付きますよ」。知り合いからこんな助言をもらったのは、もう2年以上も前のことだ。当時、筆者は新しい雑誌のコンセプトをまとめるべく悪戦苦闘していた。取材のときは「この製品のコンセプ…
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手帳はやはり紙がいい
「メソッドを特集するなら、マンダラートをぜひ取り上げて下さい」。編集会議の時、特集担当の小林副編集長にこう頼んだ。メソッド特集の主旨は、技術者に役立つ方法論や手法、ツールを紹介しようというものである。メソッドといっても星の数ある。そこで編集部員達で「これが面白い」「このツールは実績がある」とあれこ…
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「みんなでソニーを考えよう」
今回は特に苦労した。ソニーのことを何か書くつもりであったがなかなか書けず、別なネタにしようかと考えていたところ、筆者の原稿を待ちきれなくなった、日経ビズテック編集長の仲森がご覧の通りのイラストを先に描いてしまった。このイラストを見ながら、ソニーと無関係な原稿を書くという手もあるが、上長である編集長…
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「半導体/液晶パネル教授」と「青色LED教授」の共振
大見忠弘氏と中村修二氏とは「共振」する。この事実に気付いたのは4月26日のことであった。両氏の名前をTech-On!読者の皆様は勿論ご存じだろう。半導体の権威である大見忠弘氏は現在、東北大学の客員教授であり、日本メーカー25社を集めて大型液晶パネルを開発するプロジェクトの責任者を務めている。一方、…
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読者と「トレードオフ」を考える
3月7日付本欄に『ある技術系マネジャの夢』と題した一文を書いた。思わせぶりな題名にしてしまったが、書きたかったのは「トレードオフ」についてであった。トレードオフという言葉と「日本語訳はなにか」という問いかけがTech-On!読者を刺激したらしく、いくつかのご意見を頂戴した。この場を借りてお礼を申し上…
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【番外編】2004年度、私的「こりゃイノベーティブだわ」大賞
いつもは谷島が文章を書き仲森がイラストを書いている。けど、今回は逆の布陣で臨んでみたい。最近、仲森がいくつかの商品に感動し、それをほかの誰かに伝えずにおれない心境になったためである。そのうえ、タイトルのような賞まででっちあげてしまった。2004年度と冠したのは「たまたまそんなタイミングなので」とい…
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馬鹿に義理人情は不要
今回は趣向を変え、天晴れな技術馬鹿を見事に描いた小説を紹介する。幸田露伴の『五重塔』である。岩波文庫に収められており、100ページちょっとの長さだから、以下の拙文を読んで興味を持たれた方はぜひとも露伴の原文に挑戦していただきたい。
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ある技術系マネジャの夢
「いやあ、それは素晴らしいことですね。本当にそうなって欲しいなあ」!)!)!)。先日、大手製造業の技術系マネジャとあれこれ話していた時、ある話題に彼は激しく反応し、冒頭のように発言した。その話題とは「米国では小中高校生の時から『トレードオフ』の概念を教えようとしている」というものである。
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蛸壺の快楽
今回は2月22日に筆者が聞いた話を3点書き連ねて一本のコラムに仕上げてみたい。聞いた話のテーマが偶然一緒であったのでこの試みを思いついた。そのテーマを「蛸壺の快楽」と名付けることにする。
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「報道」に負けた中村修二氏
司法ではなく報道に負けたのではないか。高輝度青色発光ダイオード(LED)の発明対価を巡る訴訟で、中村修二氏(米カリフォルニア大学サンタバーバラ校材料物性工学部教授)が敗れた理由のことである。中村氏は発明対価訴訟の和解に応じたことについて「完敗」と表現し「日本の司法制度はおかしい」と言い残して日本を…