妊娠から乳幼児の育児までの期間に役立つテクノロジーのこと。小学校の低学年までの子育てを対象にする場合もある。テクノロジーで育児を効率化して、心身ともにゆとりある子育て環境を実現する。

 この概念は、米国で普及が進んできた。米国では4人に1人が産後2週間で職場に復帰するといい、母親ではない第三者が世話をすることが多い。ベビーシッターなどを活用して効率的な子育てを実践してきたため、テクノロジーの活用もすんなり受け入れられたようだ。

(1)育児の記録を自動で行うものや、(2)乳幼児の異常を知らせるもの、(3)子育てに関する情報収集を手助けするものなど、さまざまな種類のBabyTechが提案されている。(1)の例としては、哺乳瓶にデバイスを設置して、乳幼児が飲んだミルクの量や時間をスマートフォンのアプリで記録する「BlueSmart mia」がある。(2)としてはセンサーを赤ちゃんの脇に設置して、体温が一定以上を超えるとスマホにアラームが届く「Temp Traq」がある。

 子育ての環境は大きく変化している。核家族化が進み、地域社会とのつながりも薄れている。1人で子育てする「ワンオペ育児」の問題などもあり、子育て世代の負担は増えている。BabyTechを利用すれば、子育てにかかわる課題の解決に役立つ可能性がある。

 日本では手間をかけて育てることが大切とされ、テクノロジーの活用に否定的な声もある。その状況を改善しようと、子育て用アプリなどを手掛ける国内ベンチャー5社がITで子育ての効率化を目指す共同組織「子育Tech(こそだてっく)委員会」を2018年10月に立ち上げた(関連記事)。子育て世代への認知度を高めるとともに、その親の世代の意識も変えて、日本でもBabyTechの普及を目指す。