1回限り使用できることとされている医療機器、いわゆる「単回使用医療機器」(Single-use device、SUD)を使用後に製造販売業者が回収し、検査・分解・洗浄・滅菌などの処理を行った上で、同一用途の単回使用医療機器として再び製造販売する医療機器のこと。厚生労働省が2017年7月31日、単回使用医療機器の「再製造」に関する新しい制度の創設を発表し、法令整備を行った。

 不整脈の検査などに用いる神経生理電極カテーテル(EPカテーテル)や電気メス、腹腔鏡用機器の血管シーリング装置やトロッカーなど国内の医療機関で使用された医療機器が再製造の対象になる。感染症への懸念から、脳、脊髄、硬膜、脳神経節などに接触したものは対象外。

 従来、SUDの製造販売に関しては厚生労働省の行政通知で、添付文書に『再使用禁止』と記載するとともに『禁忌・禁止』の項にも記載すること、埋め込み型の医療材料については医療安全や感染の防止から、性能や安全性を十分に保証し得ない場合は再使用しない、などが示されてきた。その一方で、国内医療機関を対象にした調査で9割以上の医療機関でSUDの再使用の実態もあった。再使用可能な器材が適切に再生処理されると、コスト削減に効果が大きく、資源の有効活用と環境保護にもつながるとして、SUDの再製造が望まれてきた。

 新たな制度のポイントは、次の3点。(1)再製造SUDを製造販売するためには、医薬品医療機器等法に基づく製造販売業許可を必要とする。(2)再製造SUDは、元々のSUD(オリジナル品)とは別の品目として、製造販売承認を必要とする。(3)再製造SUDに関する医薬品医療機器法上の責任(安全対策や回収など)は、再製造を行った製造販売業者が担う。これらの実施・運用に伴い、再製造SUDの品質や製造管理、トレーサビリティーの確保などに関する基準を新設することとなっている。

 再製造SUDの品質や製造管理の基準としては、国内の医療機関で適切に管理されたものであること、汚染や病原体が製造工程で除去・不活化されていること、オリジナル品の構造、原材料などの変更や安全性情報をモニタリングすることなどが示されている。また、再製造SUDのトレーサビリティー確保のため、再製造SUDにシリアル番号を付し、使用済みSUDを収集した医療機関から、再製造工程、流通までの情報管理を行うとしている。こうした安全対策・管理の徹底とともに、患者への周知・理解の促進が重要とされている。