診療報酬請求(レセプト)データやDPCデータ、診療録(電子カルテデータ由来)、健診データなどの実診療行為に基づくデータ、またはそのデータベースのこと。なお、こうしたリアルワールドデータ(Real World Data:RWD)から導き出されたエビデンスをリアルワールドエビデンス(Real World Evidence:RWE)と呼ぶことがある。

 リアルワールドデータ活用への期待は、医学研究や製薬業界、ヘルスケアサービスなど多くの分野で高まっている。これまで臨床試験(治験)だけでは分からなかった治療や医薬品の実効性・安全性や費用対効果などが顕在化され、良質な医療・ヘルスケアサービスの創出、標準化につながる可能性を持っているからである。

 例えば製薬業界で最近、いまだに治療法が明らかになっていない疾患に対する医療ニーズの可視化やエビデンスの構築にリアルワールドデータを活用するようになってきている。投与された薬剤の種類や併用数、臨床検査値、年齢層といったさまざまなデータを組み合わせて分析することで、重症化した患者像を明らかにして新薬開発などに生かせる可能性があるからだ。

 リアルワールドデータには、データソースによっては単一施設での短い追跡期間のデータが多いことや対照データが存在しないことなどの限界や問題点も指摘されている。複数のリアルワールドデータを組み合わせて使うなどして、こうした課題を補う工夫も求められているという。