2014年6月に成立した医療介護総合確保推進法(正式名称:地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律)に基づき、消費税の増収分を活用して各都道府県に設置した財政支援制度。高度急性期から在宅医療・介護までの一連のサービスを地域で総合的に確保するため、医療・介護の整合的な計画策定に向けた措置や、医療・介護の実施事業を対象として財政支援を行うものである。

 設置された基金は国が2/3、都道府県が1/3を負担し、都道府県および市町村が策定した基金事業計画(都道府県計画、市町村計画)に沿って分配される。

地域医療介護総合確保基金の仕組み
地域医療介護総合確保基金の仕組み
[画像のクリックで拡大表示]

 具体的な対象事業は、(1)地域医療構想の達成に向けた医療機関の施設または設備の整備(病床の機能分化・連携)に関する事業、(2)居宅等における医療(在宅医療)の提供に関する事業、(3)介護施設などの整備に関する事業(地域密着型サービスなど)、(4)医療従事者の確保に関する事業、(5)介護従事者の確保に関する事業の5分野。2014年度は(1)(2)(4)が医療分として交付され、2015年度からは(3)(5)の介護分を加えたすべての事業を対象として交付される。

 基金交付初年度の2014年度の予算は医療分のみの904億円(国負担分602億円)で、2015年度および2016年度は医療分の904億円に介護分724億円(国負担分483億円)が加算され、それぞれ1828億円の規模になった。さらに2015年度補正予算で介護分として1561億円を上乗せした。この積み増し分は、政府が推進する一億総活躍社会の実現に向けた緊急に実施すべき対策の一つとして「介護離職ゼロ」に向けた施策の拡充を背景としている。