高齢者に仕事や役割を与え、社会参加を促す介護施設などのこと。高齢になっても自分らしく生きることができる生涯現役社会を実現するために、経済産業省が提唱している。仕事を与えることで、認知症・要介護状態の予防や進行抑制を狙う。

 一般に、社会参画の推進によって認知症が予防できるとされているが、どういうサービスが効果的なのかはまだ分かっていない。そこで経済産業省は、(1)仕事などの社会的役割を与えることによる認知症や要介護状態の改善効果、(2)仕事や役割の効果的な提供方法、の2つについて実証し、事業モデルを確立していきたい考えだ。

 具体的には、高齢者の状態に応じた社会参加のパターンを3つ想定している。

 第1は、自宅やサービス付き高齢者住宅で暮らし、デイサービスを利用している要支援2までの高齢者を対象にした場合である。比較的自立していることから、生涯学習などの講師や保育園での引率・見守り、施設での調理補助などの仕事を想定する。

 第2は、サービス付き高齢者住宅やデイサービスを利用している要支援2~要介護2に認定された高齢者を対象にする。農作物の栽培や保育園行事の手伝い、施設での掃除などの仕事を行ってもらう。

 第3は、デイサービスやサービス付き高齢者住宅、グループホーム、特別養護老人ホームなどを利用する要介護1~3に認定された人や認知症の高齢者を対象にする。洗濯物の整理や商品の箱詰め、ラベル貼りなどの仕事を想定する。

 2017年10月には、社会福祉法人 伸こう福祉会と東レ建設が、仕事付き高齢者向け住宅のモデル事業を開始すると発表した。伸こう福祉会が神奈川県藤沢市で運営する介護付き有料老人ホーム「クロスハート湘南台二番館」の高齢者を対象に、東レ建設の高床式砂栽培農業施設で野菜の生産や販売、軽作業などを仕事として行うという(関連記事)。

野菜を栽培している様子
野菜を栽培している様子
[画像のクリックで拡大表示]
(画像提供:伸こう福祉会)
(画像提供:伸こう福祉会)
[画像のクリックで拡大表示]