炭素繊維強化樹脂(CFRP)が今、自動車分野で大きく注目されています。その理由は、地球環境対策や低燃費の観点から開発が加速しているクルマの軽量化の「切り札」とも言える軽量・高強度材料だからです。

ドイツBMW社は、開発・発売した電気自動車(EV)の「i3」において、重いバッテリー重量を相殺するためにCFRP製ボディーを採用しました。これまでスーパーカーや限定車などの特殊なクルマでしか見られなかったCFRPが、ここにきて量産車に採用されるようになってきたのです。トヨタ自動車が開発・市場投入した燃料電池車(FCV)の「ミライ」には、CFRP製の水素タンクやスタックプレートが搭載されています。

BMW社もトヨタ自動車も、環境対策車両が持つ特有の悩み、すなわち、電池やタンクなど重い部品を搭載しなければならないことから、そのままでは車両重量が大きくなり過ぎてしまうという課題を、CFRPの採用によって解消したものと考えられます。

つまり、CFRPを使いこなさなければ、今後、クルマの主役になり得る環境対策車両を実現できない時代が来る可能性があります。CFRPはまさに、自動車の材料として「Must」の位置づけになる可能性が高いのです。

本講座は、トヨタ自動車において、「レクサスLFA」のCFRP製ボディーの開発に取り組んだ経歴を持つ元技術者が講師を務めます。自動車におけるCFRPの真の意味や、トヨタ自動車やドイツBMW社といった先進的な自動車メーカーの開発の考え方、CFRPの材料物性や成形法、製品化されたクルマへの適用事例、自動車用CFRPに求められる課題について、詳細かつ分かりやすく解説します。CFRP製品の設計や生産技術の開発にとって必須の知識を1日で学ぶことができます。

【受講効果】
  • CFRPに対する材料物性、成形法、接着、評価について実例を踏まえながら一通り学ぶことができます。
  • 実際に市場で販売されているクルマ(実車)に搭載されたCFRP製品の設計開発のポイントを知ることができます。
  • CFRPに対する自動車メーカーの開発の考え方や方向性を知ることができます。
  • CFRP製品を造る上で技術的な差異化ポイント(ビジネスチャンス)を把握できます。

講師紹介

影山 裕史 氏 (かげやま ゆうじ)

金沢工業大学 教授(元 トヨタ自動車)

1981年、東京工業大学・大学院・有機材料工学修了後、トヨタ自動車工業(現トヨタ自動車)に入社。東富士研究所におけるCFRPを中心とした複合材料、バイオプラスチックなどの研究開発を通し、本社でそれらの量産化を担当。2014年、同会社を退社後、金沢工業大学・工学研究科・高信頼ものづくり専攻にて、学の立場で自動車材料の在り方を研究中。

概要

日時:2015年11月25日(水)10:00~17:00(開場09:30)予定
会場:Learning Square新橋 4F(東京・新橋)
主催:日経ものづくり

受講料(税込み)

  • 一般価格54,000円
  • 読者価格43,200円
  • 一般価格
    一般価格には「日経ものづくり購読(最新号1冊+1年12冊)」が含まれます。 ご送本開始は開催後になります。
  • 読者価格
    「日経ものづくり」「日経Automotive」「日経エレクトロニクス」定期購読者(いずれも「日経テクノロジーオンライン有料会員セット」での購読を含む)、「日経テクノロジーオンライン」有料年間購読者は、「読者価格」でお申し込みいただけます。
  • 「日経エレクトロニクスPremium」定期購読者は、「Premium読者価格」(一般価格の50%割引)で受講いただけます。
  • ※受講料には、昼食は含まれておりません。
  • ※一般価格に含む「日経ものづくり購読」を登録させていただく方には、無料メルマガ「日経ものづくりNEWS」を配信設定いたします。
  • ※満席になり次第、申込受付を締め切らせていただきますので、お早めにお申し込みください。

プログラム詳細

10:00 - 17:00

1. なぜ今、CFRPが自動車に必要なのか?

1-1 自動車と環境
1-1-1 エコカーへの挑戦
1-1-2 軽量材料への期待

1-2 先進的な自動車メーカーの開発の考え方――トヨタ自動車やBMWなど先進的な自動車メーカーが、何を考えていてどこに向かっているのか?
1-2-1 スーパーカーとCFRP――「Maximize(マキシマイズ)」
1-2-2 環境車両とCFRP――「Zeronize(ゼロナイズ)」

2. CFRPとは何か?――CFRPの材料物性をはじめ基礎的知識・技術を学ぶ

2-1 CFRPを構成する材料
2-1-1 CF(炭素繊維)の特徴
2-1-2 CFRP用樹脂の特徴
2-1-3 CFRPへの期待
2-1-4 CFRPの採用事例と理由

2-2 CFRPの成形法――CFRPの成形技術について学ぶ
2-2-1 熱硬化性CFRPの成形法
1)プリプレグ圧縮法(オートクレーブ法など)
2)RTM法(レジン・トランスファー・モールディング法)
3)SMC法(シート・モールディング・コンパウンド法)
4)FW法(フィラメント・ワインディング法)
2-2-2 熱可塑性CFRPの成形法

3. CFRPのクルマへの適用事例――CFRPならではの特徴をクルマにいかに使いこなすか?

3-1 スーパーカーへの挑戦――「レクサスLFA」のCFRP適用事例
3-1-1 材料(低コスト化への挑戦など)
3-1-2 接着(異種材料接合の苦労点など)
3-1-3 成形(脱オートクレーブ法への挑戦など)
3-1-4 評価(信頼性の確保など)

3-2 環境車両への挑戦 3-2-1 電気自動車「BMW i3」のCFRP適用事例 3-2-2 FCV「ミライ」のCFRP適用事例

4. 自動車用CFRPの課題――今後、CFRPを使いこなす上での差異化ポイント

4-1 LCA(ライフ・サイクル・アセスメント)と対策
4-1-1 ムリ・ムダ・ムラのない材料
4-1-2 ムリ・ムダ・ムラのない成形
4-1-3 ムリ・ムダ・ムラのない設計
4-2 コストと対策
4-3 成形後の接合と塗装と対策
4-4 商品性と対策(CFRPならではのビジネスモデル)

  • ※途中、昼休憩と午後の小休憩が入ります。
  • ※講演時刻等、随時更新いたします。また、プログラムは変更になる場合があります。あらかじめご了承願います。
■受講料のお支払い:
お支払い方法が「請求書」の方には、後日、受講券・請求書をご郵送いたします。
ご入金は銀行振込でお願いいたします。なお、振込手数料はお客様のご負担となりますので、あらかじめご了承ください。
「クレジットカード支払」の方には、受講券のみをお送りいたします。
■お申し込み後のキャンセルおよび欠席など:
お申し込み後のキャンセル、ご送金後の返金はお受けいたしかねます。代理の方が出席くださいますようお願いいたします。
会場までの交通費や宿泊費は、受講される方のご負担となります。講師等の急病、天災その他の不可抗力、その他やむを得ない事情により、中止する場合があります。この場合、受講料は返金いたします。
■最少開催人員:
15名。参加申込人数が最少開催人員に達しない場合は、開催を中止させていただくことがあります。