2G DRAMは2013年の秋から1年以上、2.05ドル(東京での大口需要家向け出荷価格の平均値、以下同)の高値安定を続けていたが、昨年暮れから徐々に価格ダウンが始まった。夏頃まではなんとか1.60~1.70ドルを維持していたものの、9月16日を境に急激に値を下げ、現在は1.10ドル(平均)が続いている(図1)。年初来44%ダウン、昨秋と比べるとほぼ半値である。または、3年ほど前の価格水準に戻ったと言ってもよい。

図1 DRAM 2Gビット DDR3型の価格推移
図1 DRAM 2Gビット DDR3型の価格推移
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 中心用途となるパソコン市場が依然として低迷を続けており需要に勢いがないことと、4G DRAMの生産が増えて急速に価格を下げてきたのが理由か。4Gビット品も2Gビット品と同様、9月16日を境に1.15~1.10ドルまで価格が下がってきたため、ビット単価では2G品の半値になった(図2)。この先は、世代交替が進むだろう。

図2 DRAM 4Gビット DDR3型の価格推移
図2 DRAM 4Gビット DDR3型の価格推移
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 NAND型フラッシュメモリーの32Gビット品の価格は、昨年の春以降平均2.5ドルと、安定してまったく値動きがなかった。それが9月16日に、1年半ぶりに2.1ドルまで値を下げた(図3)。64Gビット品もわずかではあるが値下がりしている(図4)。

図3 フラッシュメモリー NAND型32Gビットの価格推移
図3 フラッシュメモリー NAND型32Gビットの価格推移
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図4 フラッシュメモリー NAND型64Gビットの価格推移
図4 フラッシュメモリー NAND型64Gビットの価格推移
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 これまでは半導体メーカーがいくら増産しても、世界のスマーフォン市場が急成長を続けていたため、価格が下がる要素はなかった。調査会社のIDCによれば、2014年の世界のスマホ市場は27.5%の成長だったという。2015年はこれが10%前後まで下がる見通しだ。中でも、最大の市場である中国経済に急ブレーキがかかっているのが大きい。

 先進国でのスマーフォンの成長は鈍化してきたものの、新興国ではまだ低価格スマホが成長中で、半導体の需給関係は急には緩まないと見られている。また、パソコンやデータセンターのハードディスクを置き換えるSSDの需要が旺盛なことから、中長期的にもフラッシュメモリーの市場は成長を続ける見込みだ。

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