前回のレポート(2015年11月5日)からの5カ月間、半導体メモリー価格はごくゆるやかな低下を続けた。2G DRAMは2015年10月末に1.10ドル(東京での大口需要家向け出荷価格の平均値、以下同)だったが、2016年3月末で1.03ドル、約6%値下がりした(図1)。ただし1年前の2015年3月末は1.90ドルだったので、それと比べると46%という大幅な値下がりとなる。

図1 DRAM 2Gビット DDR3型の価格推移
図1 DRAM 2Gビット DDR3型の価格推移
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 同様に、4G DRAMは2015年10月末に2.40ドルだったものが、2016年3月末に1.99ドルと、約17%値下がりした(図2)。昨年3月末の3.60ドルと比べると、こちらも45%の下落になる。なお4G品は、ビット単価で2G品を下回ったので、今後急速に世代交替が進むだろう。

図2 DRAM 4Gビット DDR3型の価格推移
図2 DRAM 4Gビット DDR3型の価格推移
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 DRAM価格に影響を与えるのはパソコン市場だが、調査会社の米IDCは、2015年の世界パソコン出荷台数が2億7620万台で、前年比で10.4%の減少だったと報告している。また2016年は2億6090万台と予測し、前年比で5.4%減少するとみている。ただし、高性能ノートパソコンなど成長している分野もあり、2017年からは需要が回復し、パソコン全体でも徐々にプラスに転じると見られている。

図3 フラッシュメモリー NAND型32Gビットの価格推移
図3 フラッシュメモリー NAND型32Gビットの価格推移
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 NAND型フラッシュメモリーの32Gビット品の価格は、2015年10月末には平均2.1ドルだったが、2016年3月末に2.0ドルに下がった。1年前の2015年3月には2.5ドルだったので、1年で20%下落したことになる(図3)。64Gビット品もほぼ同様の値動きだ(図4)。2016年3月末の平均価格は2.3ドルで、ビット単価で見ると大幅に割安である。

図4 フラッシュメモリー NAND型64Gビットの価格推移
図4 フラッシュメモリー NAND型64Gビットの価格推移
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 フラッシュメモリーの価格に影響を与えるスマートフォン市場は、2015年あたりから潮目が変わってきた。IDCの調査によれば、2014年の世界のスマホ市場は前年比27.5%の成長だったのに対し、2015年の伸び率は10.4%に鈍化した。ちなみに、出荷台数は14億4000万台という膨大な数に達している。先進国における普及一段落と新興国の経済停滞で、2016年の出荷は15億台程度、5.7%の増加にとどまる見通しだ。フラッシュメモリーにはスマホ以外にも、高性能パソコン用やデータセンター用のSSDなどで需要があり、いずれも成長中の市場だが、スマホに比べると小さい。

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