バイオマスエネルギー市場の市場規模推移と予測(単位:億円)
バイオマスエネルギー市場の市場規模推移と予測(単位:億円)
(出所:矢野経済研究所)
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 矢野経済研究所は、国内のバイオマスエネルギー市場に関する調査結果を発表した。

 それによると、バイオマス発電市場、バイオマス熱(蒸気)供給市場、バイオ燃料供給市場を合わせたバイオマスエネルギー市場(エネルギー供給量)は、2016年度の2930億円から2017年度には前年度比31.9%増の3864億円、2020年度に6576億円、2030年度に9864億円に拡大すると予測している。

 国内のバイオマスエネルギー利用は、これまで原燃料や設備のコストが普及課題だった。2012年にスタートした固定価格買取制度(FIT)により20年間、一定水準の単価での売電が可能になったことで、発電事業で採算が取れるようになり市場が急速に拡大している。

 木質バイオマスの発電事業が同市場をけん引する。従来は林業や製材業、製紙業などの関連事業者が主体だったが、FIT適用後は海外から木質バイオマス(木材チップ、木質ペレット、パーム椰子殻など)を大量に輸入して発電する事業者が増加し、商社や大手エネルギー会社などの新規参入が相次いでいる。また、自治体の下水処理場の下水汚濁を活用したメタン発酵ガス化発電事業も増加している。

 バイオマス熱(蒸気)供給事業は、多くが木質バイオマスボイラーなどで熱(蒸気)供給を行う事業であり、従来から製紙工場、製材工場、セメント工場などで行われてきた。バイオマス発電の増加によりコージェネレーション(熱電併給)形態での導入が進む。バイオ燃料供給事業では、新燃料の開発により今後市場拡大すると予測する。

 このほかにも、バイオマスエネルギー設備市場(設備導入量)は、バイオマス発電市場に牽引されて拡大し、2016年度の2253億円から2017年度には同10.6%増の2492億円、2018年度は同32.7%増の3308億円に増加すると予測する。ただし、長期的にはFITでのバイオマス発電設備導入が飽和し、2020年度は2343億円、2030年度は1159億円に落ち着くと見られる。