ドイツVolkswagen社は2017年12月21日、今年からドイツ・ザクセン州にある3工場が水力で発電した電力を利用していることを明らかにした。Volkswagenグループ傘下のエネルギーサービス会社であるVW Kraftwerk社が、オーストリアVerbund社が所有するドイツ、フランス、スイス、オーストリアの水力発電所から電力を購入し、3工場に供給している。

Verbund社が所有するオーストリア・ケルンテン州のマルタ水力発電所
Verbund社が所有するオーストリア・ケルンテン州のマルタ水力発電所
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 この水力発電由来の電力は「Volkswagen Naturstrom」と呼ばれ、国際的な第三者認証機関であるドイツTUV Rheinland社からエコパワーとして認定を受けており、ドイツ連邦環境保護局(UBA)の登録簿に記録されている。VW Kraftwerk社は2011年からVerbund社と協力しており、2025年まで協力関係を維持することが決まっている。

着々と進むカーボンニュートラル化

 2018年以降、ドレスデン工場におけるEV「e-Golf」の生産は完全に気候ニュートラル(climate-neutral)になる。Naturstromの利用により、電力消費に関してはすでにカーボンニュートラルを達成しており、年間CO2排出量を3600t削減した。

 さらに工場の暖房機能についてもカーボンニュートラルに切り替える予定。そのため、世界最大の気候保護プロジェクト開発会社のSouth Pole Group(SPG)社と3年間協力し、化石燃料を使用した暖房で排出されるCO2約400t分について、他の方法で節約していく。さらにSPGがサスティナビリティ・プロジェクトで獲得したカーボンクレジット「GoldStandard」を購入する。ドレスデン工場の場合、中国の気候プロジェクトとブラジルの植林プロジェクトの分となる。

 ケムニッツ工場では、全電力をNaturstromに変更し、約3万2000tのCO2を削減した。ツヴィッカウ工場では引き続き高効率のコジェネレーションシステムで全電力の半分を賄い、あとの半分をNaturstromとした。これにより4万4000tのCO2を削減した。

 現在、Volkswagenブランドは11工場で再生可能エネルギー源の電力を購入している。今後もエネルギー効率の改善と再生可能エネルギーの使用を拡大させ、環境戦略「Think Blue」の工場分野の目標に近づけていく。この目標が達成されれば、グループ全体が世界中で使用する電力の1/3は再生可能エネルギーになるという。