地球は水の星とも呼ばれ、表面の70%は水に覆われている。その中でも飲料水として使えるのはわずか0.01%程度しか存在しない。その意味で、安全な水道水をふんだんに使える、日本ほど水に恵まれている国は少ない。
そんな我が国は、海水の淡水化における技術で世界をリードしている。逆浸透膜による淡水化では、使われるRO膜の技術で東レ、東洋紡、日東電工の3社のシェアが世界市場で半分以上を占めている。
海水淡水化にはRO膜だけでなく、それを活用する施設の内容も重要だ。この淡水化プラントにおいても日本企業は優位性を誇っている。中でも日立造船は、2015年現在までに44もの淡水化プラントプロジェクトを作り上げてきた。
しかし同社のエンジニアによれば蒸発法と比べて、エネルギー効率も高いRO方式でも、海底浸透式の取水では海底に広大な取水設備を埋没する必要があり、直接海水を取水する方式では海洋生物の付着を防ぐために多量の薬品を投与して何度もろ過する必要があるなど、問題点は残っているという。現在、同社がアブダビで実証実験を行なっているHiSIS(高速海底浸透取水システム)は、そうした直接取水式の問題点を解決する方法の一つだ。