原発再稼働の遅れで再エネ受け入れやすく

 ただ、ベース電源の想定のうち、停止中の伊方原発1号機は廃炉を決定し、伊方原発2号機についてはまだ再稼働を申請していない。来春の原発出力は、再稼働した伊方原発3号機(89万kW)だけになるため、電源構成上、2017年5月の時点では、太陽光発電への出力抑制まで至らない可能性が高い。

 太陽光への出力抑制の要請が差し迫ってくるのは、さらに太陽光の導入が30~50万kW程度上積みされる2018年5月の昼間最低需要期となりそうだ。

 仮に実際に出力抑制を実施した場合、その妥当性を巡り、電力広域的運営推進機関からの公的な検証を受けることになる。

 出力抑制を巡っては、すでに九州電力が離島(種子島と壱岐)で実施し、運用実績が積まれている。ただ、本土系統の場合、抑制量が格段に大きくなる一方で、揚水や連系線の活用など、離島にはない複数の回避策があり、出力抑制の実施に関し、民間機関や環境団体なども独自の評価コメントを公表する可能性が高い。

 これまでに実施した離島での出力抑制の検証では、天気予報に基づく太陽光出力の予測精度に加え、需要予測の重要性が改めて認識されている。想定したほど需要が伸びず、ディーゼル発電機の部分負荷率が、安定稼働の限界とされる50%を大きく下回ったケースもあった。

 ここ数年、省エネの進展や人口減少によって昼間最低需要は全国的に減少傾向にある。四電が前提とする255万kWを大きく下回る恐れもあり、その場合、太陽光に出力抑制を要請する時期が早まる恐れもある。

 系統規模に比して太陽光の導入が急速に進み、原発の再稼働でも先行した九電と四電は、再エネへの出力抑制の決断を巡り、2017年春以降、難しい判断を迫られる。太陽光出力と需要の予測精度を今後、どの程度、高めていけるかが問われることになる(関連記事)。