調査会社の米Global Market Insights社は20日、薄膜太陽電池の2015年の市場規模が80億ドル以上であり、16%を超える年間成長率(CAGR)で2024年には300億ドルに達するとの見通しを発表した。

 同社が刊行した薄膜太陽電池のグローバル市場に関する調査報告書によるもの。

 薄膜太陽電池は、シリコンインゴットをスライスして基板にする結晶シリコン型と違い、ガラス基板の上に直接、半導体材料を蒸着させ、セル(発電素子)を形成する。カドミウムテルル(CdTe)系や銅インジウムセレン(CIS)系などの化合物型と、アモルファス(非晶質)シリコン型などが製品化されている。

 薄膜太陽電池の市場成長を後押しする要因として、化石燃料が枯渇するという懸念の高まりと、温室効果ガス排出量を低減するための環境規制を挙げている。

 金銭的な優遇策としては、税額控除や還付、低率な関税、補助金、全量および余剰分の固定価格買取制度(FIT)などが設定され、太陽光発電産業に有利に働いているとしている。

 主に発展途上国の地方部で増加する電力需要に環境面での規制が相まって、今後の薄膜太陽電池の市場が活性化されるという。半面、目先では初期投資コストの高さが太陽電池産業を抑制する可能性があると指摘する。

 地域としては、北米の太陽電池の2015年の売上高のうち薄膜太陽電池のシェアが90%以上に寄与したといい、2024年までに15GWを超えると見込む。産業用と住宅用の太陽光発電に適用される投資税額控除(ITC)の延長が、システム購入時の初期投資のペイバック期間の短縮に貢献し、北米市場の成長をけん引すると見ている。

 薄膜太陽電池の種別では、低い製造コストと高い変換効率から、カドミウムテルル系が2024年までに200億ドルを超える規模になると見込む。

 薄膜太陽電池産業における主な企業としては、米アセント・テクノロジーズ、中国Hankey Asia、米ファースト・ソーラー、米MiaSole Hi-Tech(中国Hanergy傘下)、米グローバル・ソーラー(同)、日本のソーラーフロンティアなどを挙げている。