宮崎県 児湯郡 西米良村と同村の西米良診療所は2016年12月15日、村全域を対象にポートの遠隔診療サービス「ポートメディカル」を導入したと発表した。地域全体に遠隔診療を取り入れた事例は、全国的にも少ないという。

 西米良村は人口が約1200人。全面積271km2のうち山林地域が96%を占める広大な山林地域である。日常生活における移動の負担が大きく、高齢化率も43.54%(2015年3月時点)と高い。医療機関は西米良診療所1施設(医師2名)で、訪問診療などによる対応も難しいという。

12月15日の協定締結式の様子(写真提供:ポート)
12月15日の協定締結式の様子(写真提供:ポート)
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 今回は遠隔診療を活用し、住民の通院負担を軽減することで、新たな受診需要を拾い上げる。スマートフォンのテレビ電話などを用いて再診を行ったり、地域イベントなどと連携した受診スポットを設ける。新たに診察を希望する住民に対し、医療相談や診療を初診から遠隔で実施することも予定している。

 ポートは2016年6月、宮崎県日南市北郷地区でポートメディカルの実証事業を開始(関連記事)。この実証では、患者・医師の負担軽減効果の測定や住民アンケートなどから、遠隔診療が地域医療に有用であることが示唆されているという。今回はこの結果を踏まえ、さらなる有効性・安全性の検証に向けて西米良村全域での導入に至った。大学などの研究機関とも連携し、地域医療における遠隔診療の有効性に関して十分な質をもった研究に発展させるとしている。