神奈川県厚木市の研究所にあるモデルハウスに導入した「SmaCIS(スマシス)」
神奈川県厚木市の研究所にあるモデルハウスに導入した「SmaCIS(スマシス)」
(出所:ソーラーフロンティア)
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 ソーラーフロンティア(東京都港区)は12月13日、住宅専用太陽光発電システム「SmaCIS(スマシス)」を発売すると発表した。日本の寄棟屋根にフィットしやすいスリムサイズ(120×60cm)のCIS化合物型太陽光パネルとともに新開発の架台などをセットにし、システム商品として提供する。

 新型の架台を使うことで、パネルと屋根材との隙間は、従来の10~11cmから6cmまで密着して固定できるようになった。また、パネルの耐久性向上などで、屋根の軒先からパネルまでの離隔距離を短縮でき、従来よりも横1列分多く設置できるという。

 寄棟屋根の場合、パネル横列の左右には、パネルに覆われない直角三角形のスペースが生じる。これに対応し、三角のスペースを埋める化粧板もオプションで用意した。化粧板はパネルと同系色のため、三角スペースにはめ込むことで、屋根全体の統一感が増す。パネルと屋根との密着性向上、軒先との離隔距離の縮小とあいまって、パネル設置による外観上の違和感が大幅に軽減するという。

 こうした新施工方法によって、美観の向上とともに、設置枚数は平均的に10%増える。例えば、従来方式の施工で20枚設置していた寄棟屋根の場合、最大で27枚搭載できる。一方で施工時間は約20%短くなるという。

 スリムサイズの太陽光パネルは、2017年4月から宮崎県の工場で生産し始め、7月からシステム商品として販売を開始する。1枚の出力は110W以上を目指している。

 国内の住宅太陽光の市場は、2019年に固定価格買取制度(FIT)の終了する住宅が出始めるとともに、買取価格が電気料金並みに下がっていくことが予想されている。このため、政府は、2020年以降、太陽光の自家消費を主体にしたZEH(ネットゼロエネルギーハウス)を標準化する方向性を示している。

 ハウスメーカーの多くは、ZEHの場合、太陽光パネルを5.5~7kW程度設置することを目指している。ただ、屋根面が三角形状になる寄棟屋根の場合、パネルの搭載効率が低いのが課題になっている。ソーラーフロンティア製パネルの場合、住宅用では現在、平均的に5kW前後の搭載となっているが、今回の「SmaCIS(スマシス)」の投入で、寄棟も含め5.5~6kWの搭載も容易になるという。

 CIS化合物型パネルは、結晶シリコン型パネルに比べ、同じ設置容量(kW)で比較すると実際の発電量(kWh)が多くなる特性がある。そのため同社では、6kWのCIS型パネルを設置できれば、結晶シリコン型を7kW設置した場合に相当する発電量を得られるとしている。